
評価: 10点
Story
魔法少女は絶望から救われたのか―― “円環の理”に導かれて、少女たちの新たな物語がはじまる 鹿目まどか。かつて幸せな日々をおくっていた平凡な一人の少女が、 その身を賭してすべての魔法少女たちを残酷な運命の連鎖から解き放った。 まどかへの想いを果たせぬままに取り残された魔法少女・睦美ほむらは、彼女の残した世界でひとり戦い続ける。 「懐かしいあの笑顔と再びめぐり合うことを夢見て――」 テレビシリーズをベースに製作された『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[前編/後編]』を経て、満を持して送り出される『[新編]叛逆の物語』。 総監督・新房昭之、脚本・虚淵玄(ニトロプラス)、キャラクター原案・蒼樹うめ、アニメーション制作スタジオ・シャフト。 そして彼らを中心に多くのメインスタッフが再集結。 脚本・作画、全てが完全新作。 鹿目まどかは世界を変えた。 その後の世界で、魔法少女が見るのは、 希望か、絶望か。 Filmarksより
Review
子供の頃から、現在に至るまで、「夢」をよく見る。
ときに夢は、目覚めとともに強烈な感覚を残して霧散していく。
その内容の良し悪しに関わらず、そんな夢から目覚めた直後は、「ああ、凄い夢を見た」と、しばし思考が定まらなくなる。
その夢の中で見た光景を、脳裏に再現しようとし、文字で書き起こしたり、絵を描いてみたり、人に話してみたりする。けれど、思い出そうとすればするほど、そのイメージは薄れていき、絶対に具現化することができなくなる。
見た夢が「悪夢」であれば、なおさら脳内で再現することは難しく、ただただ闇が深まっていくような感覚を覚えることがままある。
このアニメーション映画は、まさに「悪夢」という表現がふさわしい。
満を持して公開される新作長編を目前に控えて、TVシリーズを再鑑賞。そして、[新編]と銘打たれた本作を12年ぶりに再鑑賞した。
その光景はまさに、12年ぶりに蘇った「悪夢」だった。
12年前(2014年)の大晦日にこの「叛逆の物語」を鑑賞し終えた時、映し出された残酷と悲壮、そして狂気の沙汰と言っても過言ではないストーリーテリングに対して唖然としたまま、その年を終えた。
それから12年間、本作を再鑑賞することはなかったわけだが、その強烈な感覚は残り続けていた。
我ながら興味深いのは、そんな初鑑賞時の感覚を明確に覚えつつも、再鑑賞した本作のストーリーテリングに対して、ほぼ初見のように鮮度の高い衝撃を受けたことだ。すなわち、物凄い感覚を12年間携えていたにも関わらず、私は本作のストーリーをほぼ忘却していたということ。
それは、本作に登場する魔法少女たちが、忘却と覚醒を繰り返しながら、悪夢のさらに奥を行ったり来たりするさまとも共鳴するような、稀有な映画体験だった。
本作の“主人公”暁美ほむらが、本当に望み、思い描いた世界は何だったのか。
魔法少女の一人として戦いに身を投じながらも、彼女は一度たりとも「正義」のために戦ったことはなかった。シリーズを通じて一貫して、彼女が戦い続けた理由、文字通り総てを捧げて手に入れようとしたものは、ただ一つの存在に集約されている。
それはもはや「残酷」という言葉で言い表すことすらも生ぬるい。
「悪夢」のその先に存在した、狂おしいまでに純粋な感情と、それに伴う純粋な闇に、衝撃を超えて、ただただ呆然とせざるを得ない。
ついに手にした唯一無二の存在と、正義や秩序とは無縁の世界。
暁美ほむらが辿り着いたその世界で、彼女は静かに微笑み、踊り狂う。
でも、その世界は、きっちり半分に欠けている──。
12年ぶりの再鑑賞から一ヶ月が経過し、ようやくこの再レビューを書き進めようとした。
だがしかし、一ヶ月前に観たはずの本作のストーリーテリングと光景が、再び霧散していたことに気づく。
あの強烈なアニメーションが織りなす映像世界を、私の深層心理が脳裏に留めることを明確に拒否しているようにも感じる。
自分が見た「悪夢」を決してうまく表現できないことと同様に、本作を記憶に留めることができない。
それは、このハードダークファンタジーのクリエイティブが、「悪夢」を具現化したことの証明だろう。
12年ぶりに見た「悪夢」は、またその衝撃のみを記憶の断片に残し、忘却の方へ消え去るだろう。
もしかすると、私自身が暁美ほむらの闇に支配され続けているのかもしれない。そんな荒唐無稽な感覚すら疑わずにいられない。


Information
| タイトル | 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語 |
| 製作年 | 2013年 |
| 製作国 | 日本 |
| 監督 | 宮本幸裕 |
| 脚本 | 虚淵玄 |
| 総監督 | 新房昭之 |
| 声の出演 | 悠木碧 |
| 斎藤千和 | |
| 水橋かおり | |
| 喜多村英梨 | |
| 野中藍 | |
| 加藤英美里 | |
| 阿澄佳奈 | |
| 鑑賞環境 | Blu-ray |
| 評価 | 10点 |
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