スバラシネマex「魔法少女まどか☆マギカ<TVシリーズ>」“魔法少女界隈の世界線を超えて、彼女の慈愛は届き続ける”

スバラシネマex

評価:  9点

Story

大好きな家族がいて、親友がいて、時には笑い、時には泣く、そんなどこにでもある日常。 市立見滝原中学校に通う、普通の中学二年生・鹿目まどかも、そんな日常の中で暮らす一人。 ある日、彼女に不思議な出会いが訪れる。この出会いは偶然なのか、必然なのか、彼女はまだ知らない。 それは、彼女の運命を変えてしまうような出会い―― それは、新たなる魔法少女物語の始まり―― 公式サイトより

 

Review

12年前(2014年)の年の瀬、何となく同シリーズの劇場版の「[前編]始まりの物語」を観た。
“美少女アニメ”の仮面を被ったその強烈にダークで辛辣なストーリーテリングにまんまとハマってしまい、大晦日までの2〜3日の間に、「[後編]永遠の物語」、そして「[新編]叛逆の物語」までを一気に観てしまった。
年の瀬の大詰めで鑑賞するには、ダークファンタジーのあまりにも深淵な世界観はあまりにも重く、衝撃的だったことを鮮明に覚えている。

その「まどか☆マギカ」シリーズの最新劇場版作品がついに公開されるということを知り、慌てて“復習”することにした。
未鑑賞だったテレビアニメ版を再び一気見。改めて魔法少女たちの悲壮と覚悟の様に打ちのめされる。

「奇跡」には常に「代償」があり、華やかで可憐な魔法少女たちがもたらす奇跡は、そのまま彼女たち自身が代償を払い、闇を深めていくという業苦。
そして、“魔法少女”という役割そのものが、全宇宙を維持するために必要なエネルギーを生み出すための“システム”であったという、極めて残酷な物語構造が、このアニメを唯一無二の存在へと至らしめている。

全編を通して、魔法少女たちは“魔女”と称されるヴィランと戦い続けるが、その“魔女”こそが、魔法少女たちが絶望の果てに行き着く姿であるというストーリーテリングは、終始絶望感に満ち溢れていた。
過剰なまでに可愛らしくデフォルメされた少女たちのキャラクター造形が、彼女たちが辿る運命の残酷さを際立たせ、一人ひとりのキャラクターが孕む“痛み”をことほど左様に増幅させていたとも思う。

何も持たない一人の少女だった主人公は、あらゆる残酷と喪失、そして自分自身に課せられた運命を目の当たりにして、一つの真理に辿り着く。
魔法少女が抱く「希望」こそが、「絶望」を生み出すための「材料」であったことが突きつけられようとも、それが避けられない宇宙の“理”であったとしても、それを真っ向から否定し、未来永劫救い続けるという覚悟。

ついに最強の魔法少女となった主人公がもたらす壮大な慈愛は、この作品世界における現在・過去・未来をさらに超えて、創造のラインを横断し、すべての“魔法少女”のもとへ届いているように思えた。
ほむらやさやかのみならず、サリーもアッコもうさぎも光もなぎさもほのかも、“魔性少女界隈”の中で息づく、いくつもの“世界”で生まれたすべての魔法少女たちを救済するかのようなあまりにも深遠な慈愛に、心が震える──。

そして、そんな一人の少女の圧倒的な献身を、都合の良いハッピーエンドで締めくくらず、彼女を守り続けることだけに身を捧げたもう一人の魔法少女の記憶にだけは留めるというラストシーン。
それは、この残酷で壮大なアニメシリーズが、彼女たちの戦いの“序章”に過ぎなかったことを雄弁に物語る。

 

Information

タイトル 魔法少女まどか☆マギカ PUELLA MAGI MADOKA MAGICA
製作年(放映期間) 2011/01/06 ~
製作国 日本
監督 新房昭之
脚本 虚淵玄
作画監督 谷口淳一郎
高橋美香
声の出演 悠木碧
斎藤千和
水橋かおり
喜多村英梨
加藤英美里
新谷良子
後藤邑子
岩永哲哉
岩男潤子
野中藍
鑑賞環境 Web配信(U-NEXT)
評価 9点

 

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