スバラシネマex.「地球外少年少女」 “もっと「想定外」の場所に少年少女を連れて行って”

スバラシネマex

評価: 6点

Story

「電脳コイル」から15年。
当時誰もが想像しえなかった「ARがある暮らし」を予見した、監督・磯光雄。
彼が次に見通すビジョンは――「AIがある宇宙での暮らし」だった。

舞台は、インターネットも、コンビニもある「2045年の宇宙」。
日本の商業ステーション「あんしん」で、少年少女たちは大きな災害に見舞われる。

大人とはぐれ、ネットや酸素供給が途絶した「あんしん」から、自力での脱出を目指す子供たち。
ときに仲間の、ときにAIの力を借り、生きるための行動を採る彼らは、史上最高知能AIが語った恐るべき予言の「真意」にたどり着く。
絶体絶命の状況下で、子どもたちは何に触れ、何に悩み、何を選択するのか――。 公式サイトより

オリジナルアニメ『地球外少年少女』本予告/新宿ピカデリーほかにて2週限定劇場上映
TVアニメ「#電脳コイル」の磯光雄監督 最新作オリジナルアニメ『#地球外少年少女』1月28日(金)前編、2月11日(金)後編、新宿ピカデリー他にて各2週限定劇場上映劇場公開限定版Blu-ray&DVD同時発売Netflixにて世界同時配信<来場特典>豪華クリエイター陣が手掛けた来場者特典が決定!◆前編:描き下ろし...

 

Review

地球の内外で生まれ育った少年少女たちが、宇宙ステーションで決死のサバイバルを繰り広げる王道ジュブナイル。殆ど前情報なしで衝動的に鑑賞をし始め、Netflixで全6話をほぼ一気観した。
同監督作として有名(らしい)「電脳コイル」も不勉強ながら観たことも、聞いたこともなく、全くまっさらな状態で鑑賞したが、アニメーションのクオリティやキャラクター造形は精細で魅力的だった。

近未来を想定した各種ガジェットや諸々の舞台設定も、現代の実社会と地続きなリアリティーライン上にクリエイトされていて違和感なく受け入れられる。
そこかしこに描写されるアニメ世界の企業のロゴデザインや名称が、現実社会のそれに即したものになっていることも、実在感を高めている要因だと思う(“◯ニクロ”や“◯ーグル”など)。
主人公たちが自分の“手”と一体化したスマートデバイスを駆使して生活し、また危機を回避していく様にもとてもリアリティがあった。

非常に“面白味”に溢れたアニメ世界を創造していたと思うが、SF作品としては物足りなさを否定できない。
王道ジュブナイルであることは問題ないが、描き出されるストーリー展開とその顛末が、SFとしてはあまりにもありきたりだったように思う。
主人公をはじめとする少年少女たちの言動が、ある意味「想定の範囲内」で新鮮味が無かったと言える。

また、ストーリー構成が、少年少女たちが初めて一堂に会して、突如として巻き込まれる一連のサバイバルを描いたせいぜい数時間程度のお話なので、どうしてもそれぞれのキャラクター描写が弱かったし、キャラクター同士の関係性が希薄に映ってしまった。
故に、地球規模、人類規模に発展するサバイバルにおける一体感や成長の様にも、今ひとつ説得力を感じることができなかったのだと思う。

結果として、キーマンであるAIを含めたキャラクターや、このアニメの世界観そのものに対して「愛着」を持つことができなかったのだと思える。(メインキャラの一人である“バカチューバー”の姉のキャラクター性に対してもユニークさよりも嫌悪感の方が上回ってしまった)

宇宙を舞台とした邂逅と進化は、テーマとして個人的には大好物だし、物語の帰着そのものは良かったと思う。だからこそ、SF作品としてもっと「想定外」の場所に少年少女を連れて行ってほしかった。

 

Information

タイトル地球外少年少女 EXTRA-TERRESTRIAL BOYS & GIRLS
製作年(放映期間)2022年1月〜
製作国日本
監督
磯光雄
脚本
磯光雄
キャラクターデザイン
吉田健一
出演
藤原夏海
和氣あず未
小野賢章
赤崎千夏
小林由美子
伊瀬茉莉也
鑑賞環境インターネット(Netflix)
評価6点

 

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画像引用:https://chikyugai.com/

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