「ミッション:インポッシブル」“イーサン・ハントに憧れて買った眼鏡の記憶”

スバラシネマReview

評価:  8点

Story

スパイ組織IMFに属するイーサン・ハントは、ある任務に失敗して仲間を殺されたばかりか、罠に落ちて裏切り者のぬれ衣を着せられてしまう。身の潔白を証明するため、彼は独自に捜査を開始するが…。 Filmarksより

 

Review

中学生の頃、初めて買った眼鏡は、細い黒縁で楕円のレンズが囲まれたデザインのものだった。
眼鏡屋でたくさん並ぶ商品の中から、そのデザインの眼鏡を私が選んだ理由は、「イーサン・ハントの眼鏡に似ている」と思ったからだ。

実際は、作中で使用されたモデルというわけでも無かったし、かけてみたところで私の堀の薄い顔では、まったくもってスパイ映画の主人公を演じるハリウッドスターにはなりきれなかったけれど、中学生の私をそういう行動に駆り立てるくらいに、1996年に劇場鑑賞した「ミッション:インポッシブル」という映画はセンセーショナルだったし、とりわけ主人公イーサン・ハントを演じたトム・クルーズが格好良かった。

2週間後に公開されるシリーズ最新作「ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング」を鑑賞するに当たって、今一度シリーズ全作を見返しておこうと思い立ち、数年ぶりにこの第一作目を鑑賞した。

今年44歳になる私が、中学生時分の小エピソードを思い出すくらいだから当然なのだが、30年前のトム・クルーズがやはり若くて、格好良い。
歳を重ねてもいつまでも若々しく、あまりにもチャレンジングなアクションを自ら行う生粋の“映画馬鹿”として、世界中の映画人と映画ファンから尊敬を集め続けるトム・クルーズだが、改めて30年前の“イーサン・ハント”を見ると、そのキャラクターとしての瑞々しさと秀麗さに、まず惚れ惚れしてしまう。
宙吊りにされながらCIA本部に潜入する彼の表情とアクションを観て、「ああそうだ、このシーンに憧れてあの眼鏡を買ったんだ」と、こちらも瑞々しかった中学生時代の自分を思い出したことは言うまでもない。

1996年の劇場鑑賞時から、何度も観ている作品なので、ストーリー的な驚きは今更ないのだけれど、ブライアン・デ・パルマ監督による映画世界は、鑑賞するほどに味わい深さが増しているように思える。

シリーズ通じての“お決まり”にもなるフルフェイスマスクでの変装作戦のアバンタイトルから始まり、アクション映画史上屈指のメインテーマが鳴り響くオープニングクレジットへ。その冒頭数分間で、「ミッション:インポッシブル」の世界観への引き込む“掴み”は、最新作に至るまで継承されている伝統だろう。

“イーサン・ハント”という今や“ジェームズ・ボンド”と双璧を成すスパイ映画の主人公像を生み出したトム・クルーズの功績、フランス人女優エマニュエル・ベアールの麗しさと儚さ、ジョン・ヴォイト、ジャン・レノの印象的な悪役像、そして、初めて買った眼鏡の記憶。
アクション映画の多くは、どうしても時の流れと共に形骸化していくものだけれど、30年に渡ってシリーズ化され、その一作目として、時代を経てもなお魅力が深まる本作が持つ価値は、映画史的にも、個人的にもとても大きい。

 

 

Information

タイトル ミッション:インポッシブル MISSION: IMPOSSIBLE
製作年 1996年
製作国 アメリカ
監督
脚本
撮影
出演
鑑賞環境 インターネット(字幕・U-NEXT)
評価 8点

 

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