スバラシネマex「夏至物語(2023)」“アイナ・ジ・エンド、天性の歌声と共に備える狂おしい「武器」”

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評価:  7点

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Review

アイナ・ジ・エンドを象る魅力は、その特異な歌声もさることながら、艶めかしくて繊細なその「肢体」だと、彼女が歌い踊る姿を観続けてきてずっと思い続けてきた。
こういう言い回しは、時代的に不適格だろうけれど、敢えてきっぱりと言ってしまえば、“エロい”のだ。
決してスタイルがいいわけでもないし、分かりやすい美貌を備えているわけでもない。でも、アイナ・ジ・エンドとうい表現者が醸し出す雰囲気は、淫靡でエロい。
それは天性の歌声と共に彼女が備える狂おしい「武器」だ。

そんな彼女が、岩井俊二監督の最新長編作品に主演するという。
そしてその公開に先駆けて、この「夏至物語」がYou Tube配信された。
「夏至物語」は、1992年にまだ無名の映像作家だった岩井俊二が監督した深夜ドラマで、ファンの間では有名な初期作だ。
僕自身、長らく岩井俊二の作品に魅了され続けてきた一人だが、このミニドラマのオリジナルは観たことがなく、リメイク版を観る前に観て置かなければと、慌てて鑑賞した。そして立て続けに、2023年に再誕した本作「夏至物語」の鑑賞に至る。

ストーリー展開なんてオリジナル版の段階からあってないようなものだけれど、プロットから台詞回しに至るまで、ほぼそのままのリメイクだった。(一部、オリジナル版には登場していない“妹”の存在が物語と主人公の背景に深みを与えていたと思う。)

オリジナル版で主人公を演じていた白石美樹という人も、当時本職の女優ではなかったらしく、芸人やタレント業をしていたところをプロデューサーが連れてきたらしいが、この奇妙な物語の中で、特異な淫靡さを醸し出していた。
そのオリジナル版を鑑賞していた段階で、アイナ・ジ・エンドにこの役は合っているだろうなという予感はあった。
そして、その予感は当たっていた。

古いアパートの一室、じっとりとした茹だる暑さの中で、ただ一人ひたすらに奇妙でちょっとイタい言動を繰り広げる主人公は、やっぱりどこか淫靡さが滲み出ていて、なんだかエロい。
その様相は、アイナ・ジ・エンドの肢体が生み出す艶めかしい“動作”によってことさらに増幅されていたように感じた。

そこで“ああそうか”と気づく。

シンガーであり、ダンサーであり、アイドルであり、振付師でもあったアイナ・ジ・エンドの表現者としての本質は、その「所作」にこそ凝縮されているのだと思う。
彼女は、渋谷の小さなライブハウスから東京ドームに至るまで、「BiSH」という表現の過程の中で、“歌う”ということも含めて、その所作を研ぎ澄まし、極め続けてきたのだ。

自分がどう動き、どう目線を向け、どう声を発せれば、どういう表現が生まれるかということを、彼女はもはや無意識レベルで深く理解している。
そうそれは、「女優」として求められる素養をとっくに有していたということに他ならない。

5年前、BiSHの「My Landscape」のMVを初めて観て、アイナ・ジ・エンドというある種狂気的な存在を目の当たりにして、即座に魅了された。
そしてその存在が、30年近くに渡って僕の映画ライフを導くクリエイターと邂逅する。
これ以上“俺得”なことは他にない。

 

 

Information

タイトル夏至物語
製作年(放映期間)2023年
製作国日本
監督岩井俊二
脚本岩井俊二
撮影
出演アイナ・ジ・エンド
鑑賞環境インターネット(You Tube)
評価7点

 

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画像引用:https://eiga.com/news/20230908/9/

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