評価:
7点Story
孤児を集めて暗殺者とバレリーナを養成するロシア系犯罪組織:ルスカ・ロマ。裏社会に轟く伝説の殺し屋:ジョン・ウィックを生み出した組織で殺しのテクニックを磨いたイヴは、幼い頃に殺された父親の復讐に立ち上がる。しかし、裏社会の掟を破った彼女の前に、あの伝説の殺し屋が現れる… Filmarksより
『バレリーナ:The World of John Wick』60秒予告【8月22日公開】キアヌ・リーブスが体現する切れ味鋭いアクションに全世界が熱狂!脈々とスケールと興収を更新し続けてきた「ジョン・ウィック」シリーズ。映画史を変えた過剰な超絶アクションと、スタイリッシュで奇妙な独自の世界観はそのままに、広がり続けるその世界にア…more
Review
古い横スクロール型のビデオゲームで、“START”と同時に、ゲームの主人公に対して、様々な背格好の悪役が次々に現れては、あの手この手で襲いかかる。主人公は、最初は徒手空拳で、そしてゲームの進行と共に、武器やアイテムを手に入れつつ、ただただひたすらに悪役を打倒していかなければならない。倒しては現れ、また倒しては現れ続ける無間地獄のようなアクションゲームを延々とプレイしていると、この主人公は一体何のために戦い続けているのか、そして主人公に襲いかかる悪役たちも一体どんな思いで死屍累々を積み重ね続けているのかと、ふいに虚無的な思いに駆られることがある。
『ジョン・ウィック』という映画の世界観は、まさにそんなアクションゲームの“無間地獄”を、キアヌ・リーブスをはじめとするつくり手の“欲望”のまま具現化したものだった。
そこに存在していたものは、世間一般からの作品に対する評価など二の次、三の次にして、ただひたすらに「俺が観たいアクション映画」を作りたいという一念だったように思う。
そして、『ジョン・ウィック』シリーズ4作品を経て生み出されたこの“番外編”も、そのブレぬ一念と、“無間地獄”の本質を踏襲した、馬鹿みたいにエキサイティングな映画だった。
主演に、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の短い登場シーンで、鮮烈で魅力的なアクションと存在感を見せたアナ・デ・アルマスを迎えて、女性版ジョン・ウィック像をまた魅力的に作り上げていた。
不幸で孤独な少女が組織に匿われ、女殺し屋として成長していくプロットそのものは、数多の殺し屋映画、スパイ映画の焼き直しであることは否定できないが、既にシリーズ作で登場していた謎多き組織の実態や実情を描き出しつつ、一人の女性が修羅の道を邁進していく様には、この映画ならではのフレッシュさがあった。
キアヌ・リーブスが主演したシリーズ作においても、その戦い方は、洗練されたプロフェッショナルの先にある“何でもアリ”感が娯楽的な魅力であったけれど、本作でもそのスタイルはちゃんと継承されている。主人公がまだまだ未熟な“新人”であることからも、その娯楽要素は顕著だったと思う。
アイススケートのブレードでの斬りつけや、レストランの大量の皿を叩きつけ合うアクションシーンなどは、もはや限りなくコメディシーンに肉薄していたが、ユニークだった。
過去シリーズ同様に、映画作品として「10点満点」を付けられるような映画ではないし、相変わらず本作の製作陣はそんなものは望んでいない。
キアヌもさすがに少々お疲れだから休憩してもらって、次は「女ジョン・ウィックだ!」、「じゃあ主演はアナ・デ・アルマスだ!」と、意気揚々と撮り始め、「いやいや、やっぱり俺も出たいぞ!」と、“番外編”の範疇を越えてキアヌ・リーブスも普通に登場してくる、そんな愛すべき馬鹿映画だ。

Information
タイトル | バレリーナ:The World of John Wick
FROM THE WORLD OF JOHN WICK: BALLERINA
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製作年 | 2025年 |
製作国 | アメリカ |
監督 | |
脚本 | |
撮影 | |
出演 | |
鑑賞環境 | 映画館(字幕) |
評価 | 7点 |
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