
評価: 5点
Story
戦闘に長けた敏腕スパイ、イーサン・ハントは、休暇中に緊急指令を受ける。命じられた任務は、テロ集団に奪われた危険な致死性ウイルスの奪還。新たに仲間となった女盗賊と共に、彼は極めて危険で困難なミッションに挑む。 googleより
Review
ジョン・ウーという映画監督は、90年代のアクション映画で育った世代の映画ファンとしては、外せない監督の一人であろう。特にニコラス・ケイジとジョン・トラヴォルタが競演した「フェイス/オフ」は、多くの映画ファンがアクション映画のフェイバリットリストに入れる傑作であり、この作品の成功で、ジョン・ウーはハリウッドでの地位を築いたと言っていいだろう。
その直後に製作された本作において、プロデューサーのトム・クルーズがジョン・ウーを監督に抜擢したのは、ある意味必然的なめぐり合わせだったのだろうと思うし、映画ファンの一人として、2000年の公開当時にこの座組に高揚したことは間違いない。
しかし、今となっては周知の事実となっている通り、「M:I-2」と題された本作は「失敗作」と言わざるを得ない。
「ミッション:インポッシブル」という映画世界の性質と、ジョン・ウー監督の得意とする映画表現の性質の“食い合わせ”の悪さが、失敗の最たる原因であることは明らかだった。
アクションにおけるスピード感や手際の良さが重要視されるスパイ映画において、アクションの様式美的な“見得”や“映え”、そして“ケレン味”を表現するジョン・ウーの映画術は、時にストーリーテリング上の「違和感」に直結してしまっていたのだと思う。
結果として、そこにあるべき緊張感の阻害に繋がり、アクションシーンが派手になればなるほど、皮肉にも退屈感を生んでしまっていた。
ただ、改めて見返してみると、アクション映画としては嫌いじゃないシーンも沢山ある。
冒頭の身一つでロッククライミング(休暇中)を楽しむイーサン・ハントを映し出すアバンタイトルから始まり、ヒロインとなる女泥棒との邂逅とアバンチュール、“お約束の”フルフェイスマスクを駆使した化かしあいの連続と、ユニークで印象深いシークエンスも少なくない。
本作が、シリーズの第二弾ではなく、独立した単体のアクション映画であれば、初見時からもっと単純に楽しめる娯楽映画の一つとして記憶されていたのかもしれない。
シリーズが7作目まで到達した現時点から顧みると、本作時点では、まだ“イーサン・ハント”というキャラクター像自体が確立されていなかったのだなとも思える。
演じるトム・クルーズ自身の演技プランやその風貌も含めて、キャラクター造形そのものが固まりきっていなかったのだろう。
それが、2作目でありながらも、「ミッション:インポッシブル」という映画シリーズ全体の中の「違和感」を生んでいたのだと思える。
ジョン・ウー監督のキャリアにおいては不遇であったが、本作の映画製作上の明らかな「失敗」があったからこそ、トム・クルーズは学び、次作以降での軌道修正に繋げていけたのではないかとも思える。
冒頭のロッククライミングシーンや、クライマックスのバイクアクションシーンは、決して本作の中で機能していたとは言えないけれど、後のシリーズ作で継承された要素も多い。
公開当時は、本作に関わった誰にとってもあまり幸福な映画ではなかったかもしれないけれど、「ミッション:インポッシブル」シリーズ30年の歴史の中では、ある意味において忘れ難き作品であり、感慨深さもある。
Information
| タイトル | M:I-2(ミッション:インポッシブル2) MISSION: IMPOSSIBLE 2 | 
| 製作年 | 2000年 | 
| 製作国 | アメリカ | 
| 監督 | |
| 脚本 | |
| 撮影 | |
| 出演 | |
| 鑑賞環境 | インターネット(字幕・U-NEXT) | 
| 評価 | 5点 | 


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