評価:
5点Story
近未来。とある孤島に怪しくたたずむ「スパイダーヘッド刑務所」。そこでは、ある恐ろしい目的をもった天才的な男が管理者となり、感情を操作する薬を投与するという人体実験が密かに行われていた。その薬を服用した者は、笑いが止まらない、瞬く間に恋に落ちる、抑えきれない欲望や耐え難い恐怖を感じるなど、著しい変化を見せ、最悪の場合には死に至ることもあった。そんな人体実験に、過去の罪に苦しむひとりの男が自ら実験台になることを志願してきたことから、施設に波乱が巻き起こる。 映画.comより
クリス・ヘムズワース主演『スパイダーヘッド』予告編 - Netflix理想に燃える天才科学者 (クリス・ヘムズワース) が運営する最先端の刑務所で、2人の囚人 (マイルズ・テラー、ジャーニー・スモレット) はそれぞれの過去に向き合いながら絆を深めていく。しかしそこでは、人の感情を操る向精神薬を囚人に投与する実験が重ねられていた...。ザ・ニューヨーカー誌に掲載されたジョージ・ソーン...
Review
イントロダクションと映画世界への導入はとても良かった。
孤島に建設されている近代美術館のような刑務所施設の出で立ち、無機質な室内空間、そしてクリス・ヘムズワースの渇いた笑顔。
敢えて、意識的にポップに仕立てられたオープニングクレジットは、逆説的にこの映画世界の不穏さを雄弁に物語っており、興味をそそられた。
「とても面白そうな映画」
それは、Netflixオリジナル映画の一つの特徴となりつつある。
もちろん、映画の予告編やあらすじを見せて、「面白そう!」と感じさせることは極めて大切なことだ。
特に、映画に限らず、これだけありとあらゆる娯楽コンテンツが溢れ返っている現代社会においては、何を置いても、「再生ボタンをクリックさせる」というユーザーアクションの創出以上に重要なことなどないのかもしれない。
“面白そう”なオリジナル作品が常にラインナップされる以上、映画ファンの一人として、“そこ”から離れることはなかなか難しい。
が、結果的には、面白そうな映画で、実際面白い部分もあったけれど、ガツンと心に残り続ける作品に仕上がっていることが少ない。というのが、Netflixオリジナル映画の実態だ。
本作も、前述の通り、非常に興味をそそる映画世界を構築していたのだけれど、最終的な印象としては、極めて薄っぺらく感じた。
結局は、ストーリーが“ありきたり”の範疇を出ておらず、話が進むにつれて尻つぼみになっていった。
この手のストーリー展開にリアリティなんて求めても仕方ないことだし、近未来を舞台にしたディストピア設定なのだから、もっと振り切った展開を見せるべきだったろうと思う。
“ソー”からの「脳筋」イメージ脱却を図るクリス・ヘムズワースは、大いに屈折した製薬会社の人間を怪演していたと思うし、今年は「トップガン マーヴェリック」の記憶がまだまだ鮮烈なマイルズ・テラーも印象的な雰囲気を醸し出していたとは思う。
ただ、それぞれのキャラクター性も今ひとつ踏み込みきれぬままストーリーが収束していくので、何とも中途半端な人間描写に留まってしまっている。
それこそ、本作の監督は「トップガン マーヴェリック」のジョセフ・コシンスキーなわけで。
同じ監督、同じキャストであっても、何か要素が異なれば、映画的なエネルギーはここまで差が出てしまうということ。
詰まるところ、それが「トップガン」でトム・クルーズがエゴイスティックに拘り抜いたことであり、Netflixに限らず配信作品に何か物足りなさを感じてしまう要因なのではないかと思える。
Information
タイトル | スパイダーヘッド SPIDERHEAD |
製作年 | 2022年 |
製作国 | アメリカ |
監督 | ジョセフ・コシンスキー |
脚本 | レット・リース |
ポール・ワーニック | |
撮影 | クラウディオ・ミランダ |
出演 | クリス・ヘムズワース |
マイルズ・テラー | |
ジャーニー・スモレット | |
マーク・パギオ | |
テス・ハウブリック | |
アンジー・ミリケン | |
鑑賞環境 | インターネット(Netflix・字幕) |
評価 | 5点 |
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画像引用:https://www.netflix.com/browse?jbv=80210767
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