評価:
10点Story
ピンチの時にはヒーローが必ず現れる―。片瀬高校卓球部の自由奔放で自信家のペコ(星野裕)。クールで笑わないスマイル(月本誠)。辻堂学院の留学生、チャイナ(孔文革)。常勝・海王学園の主将ドラゴン(風間竜一)。海王に通うペコとスマイルの幼馴染、アクマ(佐久間学)。各人の思いをよそに、インターハイ予選は近づく。274cmを飛び交う140km/hの白球。その行方が、頂点を目指す少年たちの青春を切り裂く。 Filmarksより
TVアニメ『ピンポン』PVアニメ『ピンポン』2014年4月10日より毎週木曜24時50分~フジテレビ"ノイタミナ"にて放送!ほか各局でも放送!※初回放送のみ25時00分~※放送時間は予告なく変更する事がございます。予めご了承ください。原作:松本大洋(小学館ビッグスピリッツコミッ...
Review
紆余曲折経て開幕、そして閉幕したばかりの東京オリンピックは、様々な問題が露呈し蓄積された部分も大きかったけれど、そんな中でも、すべてのアスリートたちは自らの人生と存在意義をかけて最高のパフォーマンスを見せてくれた。
スポーツの素晴らしさ、勝負の世界で生きる者たちの矜持が、すべての競技、すべてのシーンから満ち溢れていたと思う。
そんな中でも、特に「卓球」の日本代表チームの活躍は男女とも素晴らしく、興奮と感動の連続だった。
彼らの大活躍を目の当たりにして、無性に見返したくなったのが、松本大洋の「ピンポン」だった。
原作漫画を読み返そうと思い、単行本を本棚から引っ張り出したが、ふと思い直し、このアニメ版を再鑑賞、二晩かけて一気観した。
松本大洋の原作漫画はもちろん大傑作であり、数多のスポーツ漫画の中でも五指に入る名作だと思っている。
ただ、この湯浅政明監督によるアニメ化作品も本当に素晴らしくて、いくつかの要素においては確実に原作を超えていると思う。
どの作品においても原作漫画原理主義な自分にとっては、そう思えること自体が非常に珍しいことで、まさに奇跡的なアニメ化だと思える。
ストーリー展開的にも、キャラクターデザイン的にも、また“コマ割”表現を多用した演出的にも、基本的に原作漫画に忠実な作品だけれど、全10話のテレビアニメ化に当たっては、加味されたり変更されている描写も少なくなく、その改変ポイントが原作ファンとしても最高だったと断言できる。
ペコとスマイル、主人公の二人のバックグラウンドだけではなく、ドラゴン、チャイナ、アクマら主要なライバルキャラたちはもちろん、各コーチやチームメイト、さらには地区予選一回戦敗退のモブキャラに至るまで、各キャラクター一人ひとりの人生模様を掘り下げた描写が最高すぎるのだ。(孔文革の帰化&日本代表入りとか嬉しすぎるんだよ!)
そして、これが東京オリンピック直後に原作ではなく今作の鑑賞に至った最大の要因かもしれないが、「卓球」というスポーツへの真摯で誠実なアプローチも素晴らしいポイントだと思う。
他のスポーツでも当てはまることではあるが、スポーツ競技とそれに携わる選手たちは、時代の変遷と共に日々進化していく。
卓球ももちろん例外ではなく、競技レベルも、ルールも、用具も、一昔前とは大きく様変わりし続けている。松本大洋の原作が週刊ビッグコミックスピリッツで連載されていたのは1996年〜1997年だから、もう二昔以上も前の時代である。
当然ながら、卓球というスポーツのルールも変わるし、それに挑む選手たちの在り方も変わる、もっと言えば社会環境や常識も様変わりしている。
このアニメ版では、そういう時代に伴う「変化」や「進化」をきちんと描写の中に盛り込み、各選手の戦術や技術をより具体的に描き出すことで、作品として昇華させている。
より一層「卓球」というスポーツの奥深い部分に踏み込み、アニメーションの特性を活かして、その本質を表現しようとする試みが非常に素晴らしいと思うし、とてもエキサイティングだった。
オリンピックなど、世界の第一線で活躍するアスリートたちの姿を見ると、改めて如実に感じるが、同じ競技を通じてせめぎ合う選手同士の内なる“つながり”は、傍から見ている僕たちが感じている以上に、強く、深いのだと思える。
「勝負」の残酷を共有するからこそ、憎らしいほどに敵対する相手を、彼らは心から尊敬しあってもいる。
チーム超えて、国を超えて、時代を超えて、価値観を超えて、深まるその尊敬とすべての感情が、主人公ペコの台詞に集約されている。
「愛してるぜ」
対峙する相手に対して、様々な感情を超えて、そう言い切れるということ。それは、今この世界でもっと必要なことなのではないか。
嗚呼、やっぱり「ピンポン」って最高だよなと思う。
Information
タイトル | ピンポン THE ANIMATION |
製作年(放映期間) | 2014年4月〜6月 |
製作国 | 日本 |
監督 | 湯浅政明 |
原作 | 松本大洋 |
作画監督 | 伊東伸高 |
声の出演 | 片山福十郎 |
内山昂輝 | |
咲野俊介 | |
木村昴 | |
文曄星 | |
野沢雅子 | |
屋良有作 | |
鑑賞環境 | インターネット(Netflix) |
評価 | 10点 |
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画像引用:https://www.netflix.com/title/80169477
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