深夜3時過ぎ、何度も観ていて分かりきっているラストシーンに号泣してしまった。
個人的に、この映画ほど観る度に“面白味”が深まる映画は他にないように思う。
一番最初に観た時は、テレビ放映されていたのを何となく途中から観て、「古臭い映画だな」と思い、武田鉄矢と桃井かおりの演技が鼻についた。中学生くらいだった僕は、この映画の本当の良さを理解するにはあまりに幼過ぎた。
10年近く経って、再びテレビ放映されていたのを同じように何となく観た。すると、「こんなに良い映画だったのか」と初見時の印象が一転した。
当時、往年の高倉健の映画をたくさん観ていて、この俳優がどうしてこれほどまで時代を超えて崇拝され愛されるのか、その理由が分かったように思えた。
そして、受け入れられなかった武田鉄矢と桃井かおりの演技は、劇中当時の現代性をありのままに体現したものであり、高倉健の時代にそぐわない“不器用さ”に対して絶妙なバランスを取っていると思えるようになり、彼ら二人の存在感が逆に大好きになった。
そうして更に数年が経ち、再びテレビ放映されていたものを録画して観た。
どうやらこの映画をちゃんと最初から観たのは今回が初めてらしい。この映画が武田鉄矢の失恋シーンから始まることを初めて知った。
この映画のメインテーマは高倉健と倍賞千恵子が演じる夫婦の愛情劇だとばかり思っていたけれど、もう一つのメインテーマとして描かれているのは、武田鉄矢&桃井かおりの若者の成長の様で、その躍動感と瑞々しさが素晴らしい。
二つのメインテーマが巧みに絡み合い、愛さずにはいられないロードムービーが成立している。
改めて観ると、各キャラクターの言動や当時の風俗の描写がとても細かく描かれていて、些細なシーンの一つ一つに対して「最高」と太鼓判を押して回りたくなった。
時代を超えていくほどに面白味が深まる映画、それこそがまさに「名作」というものだということを思い知らされる映画だ。
「幸福の黄色いハンカチ」
1977年【日】
鑑賞環境:BS
評価:10点
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