「サンダーボルツ*」“自らの「闇」に踏み込み、共有し、彼らは「光」を追い求める”

2025☆Brand new Movies

評価:  7点

Story

NYの街に突如として現れた大きな黒い影。瞬く間に市民を消し去っていく謎の敵により、世界は再び大きな脅威と直面する。しかし、数々の敵から世界を救ってきたアベンジャーズは、そのピンチに姿を現さない。チーム「サンダーボルツ」は本当に、この脅威から世界を救うことはできるのか? Filmarksより

ファイナル予告|過去は消えない、でもやるしかない。|「サンダーボルツ*」5月2日(金)日米同時公開!
最強じゃない ヒーローじゃない でも、やるしかないアベンジャーズに代わって世界を救え!NYの街に突如として現れた大きな黒い影。瞬く間に市民を消し去っていく謎の敵により、世界は再び大きな脅威と直面する。しかし、数々の敵から世界を救ってきたアベ…more

 

Review

ふと振り返ってみると、MCUの映画作品の劇場鑑賞が、2023年の「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME3」以来であったことに気づき、少々驚いた。
全世界の映画ファン、MCUファンと同様に、“フェーズ4”のめくるめくマルチバースの世界観にやや食傷気味になってしまった時期を経て、“フェーズ5”期間におけるマーベル・スタジオ本幹の紆余曲折に対して、やや距離をおいてしまっていたことは否めない。
個人的に注目作であったにも関わらず劇場鑑賞スルーしてしまった「デッドプール&ウルヴァリン」は非常に面白い映画であったけれど、MCUの本流においては“禁じ手”であったことは間違いなく、むしろ「混迷」の象徴とも言える傑作だったと思う。

そんなフェーズ5の最終作として公開された本作「サンダーボルツ*」を、それでも封切り早々に観に行った要因は、本作自体への期待感と、それを皮切りとしたMCU自体の逆襲への期待感がふつふつと湧いてきたからに他ならない。

かつてのヴィランやはみ出し者たちが“チーム”となり、負け犬たちのワンスアゲインを描き出す本作のプロットは、MCUの作品群の中ではやはり異質であり、停滞する巨大コンテンツにおいて「起爆剤」になり得るものだった。
それはかつてフェーズ2で爆誕した「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」が果たした役割にも似ており、ガーディアンズを生み出したジェームズ・ガンがDCで生んだ「ザ・スーサイド・スクワッド」ともピタリと重なる作品性だったと思う。

126分という、MCU作品の中では比較的コンパクトな映画世界の中で、“主人公”でも“ヒーロー”でもなかったこの世界の裏側を歩く者たちが、文字通りその「闇」を抜け、光の射す場所へと歩みを進める姿は、やはり胸熱だった。
揃いも揃って“陰鬱”で、心に“病み”を持ち続けてきた“サンダーボルツ“の面々が、その過去から安易に脱却するのではなく、自分自身で改めて認め、敢えて踏み込み、仲間たちと共有することで乗り越えていく様には、同様に心に傷を持つすべての人たちに対する真摯なストーリーテリングが備わっていたとも思える。

“サンダーボルツ”のキャラクターたちはみな魅力的だったけれど、特筆すべきはやはりフローレンス・ピュー演じるエレーナであろう。偉大な“姉”亡き後、その名代を引き継ぐことになった彼女の“妹感“は、勇ましくもあり、切なくもあり、痛々しくもあり、何よりとてもキュートだった。
また、ピュー同様に、「ブラック・ウィドウ」から続投するデヴィット・ハーバー演じるアレクセイ(レッド・ガーディアン)のキャラクターも抜群に良い。“ソ連製”の超人という立ち位置がもたらす時代的な悲哀や、暗く思い時代を越えて、人生の落伍者としての悲しさを体現しつつも、それでも“娘”を思う“父”像は、滑稽ではあるけれど、それ故のエモーションを生んでいたと思う。

各キャラクターたちが魅力的である時点で、本作は「成功」していると断言できるし、期待していたMCU逆襲の起爆剤としての役割は充分に果たしてくれたと思える。

無論、前述したジェームズ・ガン監督の各作品と直接比較すると、その映画的な爆発力は物足りないかもしれない。
ただし、その抑え込まれた爆発性こそが、本作のキャラクターたちが持つ本質であり、独自の立ち位置だろう。
“サンダーボルツ”のキャラクターたちは、かつて主人公でも、ヒーローでも無かったけれど、皆“善い人間”だった。
彼らは、銀河を股にかける荒くれ者でもなければ、超極悪集団というわけでもない。ただ、過酷な運命や、非道な他人にその人生を翻弄され、「悪役」のレッテルを貼られてしまった悲しき者たちだった。
そんな「闇」の中に閉じ込められた彼らが、ノリのいい音楽の中で悪ノリできるはずもなく、ド派手な爆発や、華美な娯楽性とは無縁の映画世界を構築せざる得なかったことは、ある意味必然であり、真っ当な映画的アプローチだったと思える。

“サンダーボルツ”にとっても、我々観客にとっても、もう一つ弾けきれなかったこの僅かなフラストレーションは、“ニュー・アベンジャーズ”として、堂々と脚光を浴びる資格を得た彼らが埋めてくれることだろう。
これから新たな“フェーズ”において、「闇」の中を歩き続けてきた彼らが、どんな「光」を放つのか。大いに期待したい。

 

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Information

タイトル サンダーボルツ* THUNDERBOLTS*
製作年 2025年
製作国 アメリカ
監督
脚本
撮影
出演
鑑賞環境 映画館(IMAX・字幕)
評価 7点

 

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