「サイダーのように言葉が湧き上がる」映画レビュー “夏空や つたない言葉 ぼくはすき”

スバラシネマReview

評価: 8点

Story

17回⽬の夏、地⽅都市。コミュニケーションが苦⼿で、⼈から話しかけられないよう、いつもヘッドホンを着⽤している少年・チェリー。彼は⼝に出せない気持ちを趣味の俳句に乗せていた。 矯正中の⼤きな前⻭を隠すため、いつもマスクをしている少⼥・スマイル。⼈気動画主の彼⼥は、“カワイイ”を⾒つけては動画を配信していた。 俳句以外では思ったことをなかなか⼝に出せないチェリーと、⾒た⽬のコンプレックスをどうしても克服できないスマイルが、ショッピングモールで出会い、やがてSNSを通じて少しずつ⾔葉を交わしていく。 ある⽇ふたりは、バイト先で出会った⽼⼈・フジヤマが失くしてしまった想い出のレコードを探しまわる理由にふれる。ふたりはそれを⾃分たちで⾒つけようと決意。フジヤマの願いを叶えるため⼀緒にレコードを探すうちに、チェリーとスマイルの距離は急速に縮まっていく。 だが、ある出来事をきっかけに、ふたりの想いはすれ違って。物語のクライマックス、チェリーのまっすぐで爆発的なメッセージは⼼の奥深くまで届き、あざやかな閃光となってひと夏の想い出に記憶される。 Filmarksより

映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』予告映像
映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』2021年7月22日(木・祝)公開公式HP:​公式Twitter:​ イシグロ監督公式YouTubeチャンネル「サイコトちゃんねる」:

 

Review

ヘッドホンは屋内外問わず必携だし、マスクも現在の感染症対策に関係なく実は一年中していたい。
特に明確なコンプレックスがあるわけではないけれど、世の中に対してささやかな“ガード”をすることで、心を落ち着かせることができる。
そのことが他人とのコミュニケーション不足に至ってしまっていることも否めないけれど、この社会の中で折り合いをつけるためにはもはや不可欠な「対策」だとも思う。
そうそれは、僕自身の性質だ。

そういうわけで、本作の主人公二人が抱えるコンプレックスとその心情に対しては、最初から共感せずにはいられなかった。

思春期特有のナイーブさも重なり、すべてをさらけ出せない二人は、それでも自分自身の存在証明のために、俳句を詠み、ライブ配信をしている。
アニメ作品としては特に劇的なドラマが繰り広げられるわけでもなく、ファンタジックな事象が巻き起こるわけでもない。とある地方都市の大型ショッピングモールを舞台にしたミニマムなボーイ・ミーツ・ガールだった。

劇的ではないストーリー展開が、むしろ逆に主人公たちをはじめとする登場人物たちの何気ない心情を浮き彫りにし、愛らしい人間模様を表現していたのだと思える。
大型ショッピングモールがデンと構える風景も、もはや日本中のあちこちで見られるありふれた光景だろうけれど、ヴィヴィットでポップな背景のグラフィックデザインが、彼らにとって特別な「今この瞬間」を切り取っていたと思う。

キャラクター造形は総じてステレオタイプだとも言えるし、ストーリーテリングにも安直さやご都合主義が見え隠れすることは否めない。
それでも、“ガード”をすることしかできなかった少年少女が、自分自身の大切な思いを、行動と言葉で、相手に伝える様にはエモーショナルを感じずにはいられない。

そして、“アテ書き”としか思えない杉咲花のキャスティングが間違いなかった。

 

Information

タイトルサイダーのように言葉が湧き上がる
製作年2021年
製作国日本
監督
イシグロキョウヘイ
脚本
イシグロキョウヘイ
佐藤大
総作画監督
愛敬由紀子
出演
市川染五郎
杉咲花
潘めぐみ
花江夏樹
梅原裕一郎
中島愛
諸星すみれ
武内駿輔
井上喜久子
山寺宏一
鑑賞環境インターネット(Netflix)
評価8点

 

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画像引用:https://youtu.be/Wleea9-Hb2w

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