
評価: 7点
Story
銀河一の高速船ミレニアム・ファルコンを操る伝説の運び屋で”愛すべき悪党”ハン・ソロと、生涯の相棒となるウーキー族のチューバッカの出会いや、悪友ランド・カルリジアンとのエピソードなど、若きハン・ソロの知られざる過去を描くアナザー・ストーリー。 Filmarksより
Review
“Disney+”を契約しているが、気がつけば「スター・ウォーズ」シリーズの世界観を彩るあらゆるスピンオフドラマやアニメシリーズが溢れかえっていて、「ああ、とてもじゃないが全部は観られないな」と途方に暮れている。
という具合に、「スター・ウォーズ」に関する作品はすべて観なければ!と使命感に駆られるほどのコアなファンではないけれど、高校生時分に公開された旧三部作の「特別編」を劇場鑑賞して以来のライトな「スター・ウォーズ」ファンではある。
「スター・ウォーズ」のスピンオフ映画として印象深いのは、「ローグ・ワン」。記念すべき第一作「新たなる希望」へと直結する“名もなき者たち”による熱いドラマが最高にエモーショナルな体験をもたらしてくれた。
同シリーズの広大な世界観と宇宙観は、“フォース”の有無や、“ジェダイ”であるかどうかに関わらず、そこで生き、闘う者たち一人ひとりによって構築されているということを見せつけた傑作だったと思う。
その「ローグ・ワン」が劇場公開されたのが2016年で、続くスピンオフ映画の第二弾として公開されたのが2018年の本作。
曲がりなりにもSWファンであるにも関わらず、何年も放置してしまった要因は、つまるところ本作の主人公が“ハン・ソロ”であることにあったかもしれない。
ハン・ソロといえば、誰しも知っている通り旧三部作において、主人公ルーク・スカイウォーカーを凌駕するほどの人気キャラクターであり、レイア姫と並び主人公の一人と言っても過言ではないだろう。
そんな主要キャラの前日譚を見せられることに、いささか抵抗があったように思える。オリジナルのキャラクター設定や、ハリソン・フォードが体現したキャラ造形が、蛇足によって、ぶれてしまうのではないかという危惧があったのだと思う。
ただ、実際に鑑賞してみると、その危惧は杞憂だった。
本作は、映画史上における“アウトロー”の代名詞でもあるハン・ソロの成長譚として、真っ当な冒険活劇だった。
SWの正史に関わる要素を最低限にとどめ、盗人あがりの若者が、持ち前の野心と勇気で必死に生き抜く様に終始したことが、本作をシンプルな娯楽映画として成立させている。
その上で、彼のアウトローとしてのキャラクター性を確立し、本編に繋がるキャラクター造形に成功している。
監督はアカデミー賞監督のロン・ハワード。職人監督らしく、誠実で堅実な仕事ぶりだったと思う。
SWシリーズの中で、決してものすごく重要で厚みのある作品ということでは無いけれど、稀代のアウトローが“ハン・ソロ”と名乗るようになった理由や、数十年にわたる相棒チューバッカとの出逢い、ランドとの因縁が描き出されたことは、ファン熱を高めるポイントだった。
そして、ハン・ソロの前日譚であると同時に、“ミレニアム・ファルコン”の前日譚であったことも、高揚する要素だったことは言うまでもない。
加えて、本作のオリジナルキャラクターたちもみな存在感が大きかった。
ウディ・ハレルソン演じる盗賊団のリーダー“ベケット”や、同郷の恋人だった“キーラ”との共闘と離別がハン・ソロの成長に大きく関わっていたことが、本作独自のドラマ性を生み出していた。
特にキーラを演じたエミリア・クラークの演技は絶妙で、可憐さを前面に出しつつも、どこか仄暗い“ダークサイド”を感じさせる表現力で、このキャラクターを見事に体現していた。
他にも、ランドの相棒ドロイドの“L3”のフェミニズム全開のキャラクター造形や、ポール・ベタニー演じる“ドライデン”の悪党ぶりも印象的で、SWの世界にまた新たな魅力的なキャラクターを誕生させていたと思う。
結論として、やっぱり「スター・ウォーズ」の世界は、幾つになっても少年心をくすぐってくる。過去シリーズを見直しながら、膨大なドラマシリーズも少しずつ観ていこうと思う。

Information
| タイトル | ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー SOLO: A STAR WARS STORY |
| 製作年 | 2018年 |
| 製作国 | アメリカ |
| 監督 | |
| 脚本 | |
| 撮影 | |
| 出演 | |
| 鑑賞環境 | インターネット(字幕・Disney+) |
| 評価 | 7点 |


コメント