「シャン・チー/テン・リングスの伝説」映画レビュー “カンフー映画とドラゴンボールのその先へ”

シャン・チー2021☆Brand new Movies

シャン・チー

評価: 7点

Story

マーベル・スタジオの新時代の幕開けを担う、新たなヒーローが誕生。悪に染まった父から授かった最強の力を封印し、二度と戦わないと誓った優しすぎる男、シャン・チー。父が伝説の腕輪《テン・リングス》を操り世界を脅かす時、シャン・チーは自らの力を解放し、宿命の敵となった父に立ち向かえるのか?自らの運命に葛藤しながらも過去と向き合い、運命を受け入れ、“本当の強さ”に目覚めていくシャン・チーを描いたドラマチック・アクション・エンターテイメント。 Filmarksより

「シャン・チー/テン・リングスの伝説」11/12デジタル配信開始
封印した“力”を、解き放て――11月12日(金)デジタル配信開始【Twitter】【Facebook】

 

Review

正直なところ、この映画に対するファーストインプレッションは“微妙”だった。
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の中に突如登場した東洋人ヒーローには、同じ東洋人としても違和感というか、強引な印象を禁じ得なかったし、チャイニーズマーケットに対するあからさまな“目配せ”のようにも感じてしまい、素直に期待感を高めることができなかった。
カンフー映画も、チャイニーズアクションも幼少期から慣れ親しんでおり大好きだけれど、それがMCUの世界観の中でどう成立するものかと甚だ懐疑的だったことは否めない。

が、しかし、意外にもというか、案の定というか、蓋を開けてみれば、本作はMCUの娯楽映画としてしっかりと楽しく、きっちりと成立していた。勿論ちゃんとした“カンフー映画”として。
もはや何度目か分からないが、MCUというブランドに対して、「流石かよ」と感心せずにはいられない。

MCUが二十数作にも渡って築き上げてきたエンターテイメントの“フォーマット”にチャイニーズアクションを重ねただけと言ってしまえばそれまでだが、世界の映画ファンが見たいアジアンアクションの要素を盛り込み、「娯楽」を追求し、実現していることは映画製作において“正義”だ。

本作が、MCUのフェーズ1とかフェーズ2あたりに挟み込まれていたら、それは流石に作品として浮いてしまっていただろう。けれど、ユニバースを広げ続け、あらゆる価値観や宇宙観をも取り込んでいく「多様性」こそがシリーズ全体のテーマになっている現在のフェーズ4においては、本作が描き出す異文化と異次元のストーリーテリングは、まったくもって許容範囲であり、もはや必然的にすら感じる。
アメリカ社会におけるアジア人の境遇や職業面の描き方も、さり気なく問題意識が提示されていたと思う。

キャストにおいては、主人公シャン・チーを演じたシム・リウが、正真正銘の「無名」の状態からMCUという巨大な映画ブランドの“ニューヒーロー”として登場した経緯がメタ的な要素も含めて非常にエキサイティングだ。
ビジュアル的にも決して華やかさのないこの新人俳優を大抜擢し、ニューヒーローのキャラクター像を文字通り“ゼロ”から構築していく展開が、一映画ファンとしてとても熱かった。

そして脇には、トニー・レオン、ミショル・ヨーらアジアが誇るスーパースターを的確にキャスティングし、作品としての安定感と説得力を高めている。
特に、長らく数々の作品で、トニー・レオンという俳優の色香に酔ってきた映画ファンとしては、危うく、妖しく、脆く、秘められた慈愛が混濁した本作のキャラクター性は、彼の俳優としてのキャラクター性とキャリアに相応しい適役だったと思える。
トニー・レオンが演じたシュー・ウェンウーは、本作で絶命したが、“テン・リングス”の力によって1000年生きてきたことや、そもそも彼が“テン・リングス”を手に入れた経緯など、まだまだ描ききれていない要素は多々あるので、再演を望みたい。

兎にも角にも、カンフー映画を礎にし、“ワイヤーアクション”や“ドラゴンボール”までもフォローして、MCUは益々その世界観を広げていく。

 

Information

タイトルシャン・チー/テン・リングスの伝説 SHANG-CHI AND THE LEGEND OF THE TEN RINGS
製作年2021年
製作国アメリカ
監督
デスティン・ダニエル・クレットン
脚本
デイヴ・キャラハム
デスティン・ダニエル・クレットン
アンドリュー・ラナム
撮影
ビル・ポープ
出演
シム・リウ
オークワフィナ
メンガー・チャン
ファラ・チェン
フロリアン・ムンテアヌ
ベネディクト・ウォン
ミシェル・ヨー
トニー・レオン
アンディ・リー
ベン・キングズレー
鑑賞環境インターネット(U-NEXT・字幕)
評価7点

 

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シャン・チー(シム・リウ)は捨て去ったはずの過去と向き合い、危険なテン・リングスの組織を率いる彼の父親と対峙することとなる。

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