「GODZILLA 星を喰う者」映画レビュー “この星を喰らう怪獣は、ゴジラか、ギドラか、それとも……”

GODZILLA星を喰う者2021☆Brand new Movies

GODZILLA星を喰う者

評価: 9点

Story

アニメーション映画『GODZILLA』(通称:アニゴジ)がついに最終章を迎える。
二万年後の地球で繰り広げられた、<ゴジラ>とそれに抗う人類の物語。最終章『星を喰う者』では、超科学が生み出した<メカゴジラシティ>をも焼き尽くし、地上の覇者となった究極の生命<ゴジラ・アース>と高次元怪獣<ギドラ>が相まみえる。
『アニゴジ』の誕生は2017年。これにより『ゴジラ』は新たな領域へ足を踏み入れた。同年11月公開の第一章『GODZILLA 怪獣惑星』はゴジラ映画史上初の3DCGアニメーション作品であり、その映像体験は大きな驚きと称賛をもって迎えられ、第二章『GODZILLA 決戦機動増殖都市』は、アニメーションならではの<メカゴジラ>の新解釈で観客を圧倒した。
そして最終章では、虚空の神<ギドラ>と破壊の王<ゴジラ>がついに激突。戦いの果てに待つのは、人類への啓示か。 公式サイトより

【11.9 完結】『GODZILLA 星を喰う者』予告①(『GODZILLA:The Planet Eater』 Official Trailer① )
その<黄金>は<絶望>すら焼き尽くす。ゴジラ・アースVSギドラ、滅びの祭典が幕を開ける。アニメーション映画『GODZILLA』、ついに完結。【最終章】『GODZILLA 星を喰う者』11/9(金)全国公開。【第一章】『GODZILLA 怪獣惑星』【第二章】『GODZILLA 決戦機動増殖都市』↓NETFLIXにて...

 

Review

愚かで傲慢な“旧時代”の人類は、「存続(=勝利)」し続ける限り、憎しみと虚栄を捨て去ることができない。
絶対的な「畏怖」の対象と、それがもたらした「新しい世界」を目の当たりにして、旧時代の英雄は、自ら“憎しみの螺旋”を断ち切るために飛び立つ。
三度、あまりにも強大な宿敵と対峙し、憎しみと怒りをぶつける彼が見せた“最期の安堵”。それは、自分が本当に”滅ぼすべきもの”が何だったのかということに到達した儚くも、勇ましい帰着だった。

 

というわけで、れっきとした“ゴジラファン”でありながら、世評の悪さから鑑賞を先延ばしにし続けてきたこの長編アニメ版「GODZILLA」トリロジーを一気に完走。
各レビューサイトとも、世評はやはり「否定」の嵐だったが、僕自身は、この三部作を通じて、想定外の世界観の深さと、ストーリーテリングの振り切り方に驚き、感動したと言っていい。

ハリウッド版含め30作以上に及ぶ玉石混交の「ゴジラ」映画全シリーズ作品を根底に敷き詰め、まるで原作版「風の谷のナウシカ」のような人類文明終末の虚無感と運命への抗い、そして、永井豪の「デビルマン」のクライマックスを彷彿とさせる人間の本質的な「業」がもたらす罪と罰の様相が、豪胆なストーリーテリングの中で展開されていたと思う。
無論、今作が、過去のゴジラ映画シリーズ随一の映画だとか、上に挙げた伝説的漫画作品に匹敵する作品だとは決して言えないけれど、そういった偉大な過去作に対する明確なリスペクトを掲げつつ、この製作チームが目指した高みは、素晴らしくチャレンジングで、間違いなくエキサイティングだった。

大多数からの“拒否感”は認める。だが僕は、ゴジラ映画ファンのはしくれとして、過去の全30作を鑑賞してきたことを踏まえて、敢えて全方位的に「肯定」したい。

日本の映画史、そして世界の特撮映画史に燦然と輝くゴジラ映画シリーズだが、控えめ言ってその7割以上は「駄作」である。
特に、このトリロジーの直接的な原作とも言える1964年「三大怪獣 地球最大の決戦」をはじめ、以降の昭和時代に製作された各作品は極めて陳腐で子供だましのものが圧倒的に多い。
ただ、そういう駄作群も含めて、長きに渡り世界中の映画ファンに愛され続けているのが、「ゴジラ」という歴史であり、魅力であろう。「三大怪獣 地球最大の決戦」にしても、ゴジラ・モスラ・ラドンのまるっきり“コント”のような共闘の滑稽さに呆れつつも、キングギドラ登場のインパクトと精巧さには惚れ惚れする。そういうアンビバレントな感覚を堪能することこそが醍醐味だと思う。

このトリロジーの諸々の強引な設定や中二病的なストーリー展開に対して鼻白み、批判する評が多いようだが、個人的には、そういう部分こそが特撮映画っぽさ、ゴジラ映画っぽさでもあり、全くもって許容範囲だった。
むしろ、そのある意味伝統的なチープさを取り込みつつ、最新のSFアニメとして最大限増幅し、振り切ってみせていることが、ファンとして高揚感を高められた最大の要因だったと言える。

ゴジラ映画としても、アニメーション映画としても、歪だし、独善的な映画であることは否定しない。ただそれ故に印象的で忘れ難き作品になっていることは間違いない。

ただ……モスラはちゃんと孵化させて、ゴジラ、ギドラと同様に圧倒的なアニメーションで見せて欲しかった。
アレンジされた「モスラの歌」が双子姉妹によって奏でられるのを今か今かと心待ちにしていたのだけれども。

 

「GODZILLA 怪獣惑星」映画レビュー “ちゃんとファンの琴線をくすぐるゴジラ映画”
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「決戦機動増殖都市」というこの副題が、中二病的でとても良い。 このタイトルを堂々と掲げることで、この映画は“そういう映画だ”ということを宣言しているのだと思う。
おヒサシネマ!「三大怪獣 地球最大の決戦」
ハリウッド版ゴジラ最新作公開を目前にして、おそらくはベースになっているのだろう本作を十数年ぶりに鑑賞。十数年前と感想をピタリと思い起こさせる安定のトンデモ映画ぶりだった。 タイトルの「地球最大の決戦」が始まるまでは、まあまあ良…more

 

Information

タイトルGODZILLA 星を喰う者
製作年2018年
製作国日本
監督
静野孔文
瀬下寛之
脚本
虚淵玄
撮影
出演
宮野真守
櫻井孝宏
花澤香菜
杉田智和
梶裕貴
堀内賢雄
中井和哉
山路和弘
上田麗奈
小澤亜李
鑑賞環境インターネット(Netflix)
評価9点

 

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