7年前に初めてこの映画を劇場で観た時、泣けて泣けて仕方がなかった。
涙が溢れるというレベルではなく、僕は劇場の一席で明らかに声を抑えて泣いていたと思う。
物語が悲しいわけではなく、劇的に感動的だということでもない。
ただひたすらに、目の前に映し出された映画世界の幸福感に対して涙が止まらなかった。
自宅の棚に並ぶDVDを引っ張りだして、久しぶりにこの映画を観ようと思った。
DVD自体は発売とほぼ同時に購入したと思う。けれど、まともに全編鑑賞したのは、購入時以来数年ぶりだったと思う。
もの凄く良い映画だと思った作品を再び観ることには、実は少しためらいが生じる。
映画の内容は知っているわけだから、当然ながら初見時ほどのインパクトは得られない。また、「感動」のポイントなんてものは、その時々で移ろうもので、最初に観た時と同じように泣けるなんてことは、ほぼないと覚悟しなければならないからだ。
鑑賞して、自分自身の感情に驚いた。
最初に観た時とまったく同じように、泣けて泣けて仕方がなかった。理屈ではなく、ストーリーを追って整理する間もなく、むせび泣いた。
自分自身、結婚をし、もうすぐ人の親になる。そのことが殊更に心を揺さぶった。
この映画に出てくるような「夫婦」になりたいし、「父」になりたいと心から思う。
そして最期、「いい人生だったね」と自分自身に言いたい。
「ビッグ・フィッシュ Big Fish」
2003年【米】
鑑賞環境:DVD
評価:10点
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