「シン・ゴジラ:オルソ」“モノクロームによる「匂い」と「味」、そして「色」を堪能する”

2025☆Brand new Movies

評価:  10点

Story

2023年11月3日の『ゴジラ-1.0』公開を記念して、2016年に公開され興行収入82億円超の大ヒットを記録した『シン・ゴジラ』のモノクロ版の製作が実現。庵野秀明氏が企画提案、樋口真嗣監督、尾上克郎准監督が監修を務めた。“ゴジラ”と名付けられた巨大不明生物と、日本政府、自衛隊との戦いを描く。 Filmarksより

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Review

モノクロームで“彩られた”映画世界。
ストーリー展開そのものは、オリジナル版と全く変わりなく、これを単一の別の映画と捉えることにはいささか抵抗はあるが、映画作品における「風味」みたいなものは、確実に違っていて、一味違った「シン・ゴジラ」を堪能できたことは間違いない。

個人的には、オリジナル版において、夜の東京を襲撃するゴジラの禍々しくも神々しい畏怖感と、災厄としての絶望感こそが、白眉だと思っている。
あの妖しく光り始める“紫の光”が、このモノクロ版では必然的に表現できないことは、ビジュアル表現としてのマイナス要素だったと思う。
モノクロームの映像世界により、特撮シーン、スペクタクルシーンのビジュアル的な迫力が少なからず軽減していることは否めない。

ただし、その代わりに、「シン・ゴジラ」の魅力の双璧と言って良いもう一つの要素は倍増していたように感じる。
それは、人間たちの表情から伝わるドラマ性や、人間臭さだ。登場人物たちが醸し出す、恐怖や焦燥、愚かさ、意地、熱情、あらゆる感情とそれに伴う人間ドラマの“匂い”のようなものが、モノクロ表現によって増幅されていたように感じた。

「シン・ゴジラ」は、無論、怪獣映画であり特撮映画であるが、それと同時に明らかな“政治映画”でもある。
正義感と野心を併せ持つ政治家を主人公に配して、国内外を巻き込んだ「政」をストーリーテリングの主軸に据えた本作において、ゴジラ以外のキャラクターたちの“人間臭さ”がより際立っていることは、とても重要なポイントだったと思える。

勿論、オリジナル版があった上での別バージョンではあるけれど、本作ならではの「匂い」と「味」そして「色」は確実に放たれていたと思う。

 

Information

タイトル シン・ゴジラ:オルソ
製作年 2023年
製作国 日本
監督
脚本
撮影
出演
鑑賞環境 インターネット(Amazon Prime Video)
評価 10点

 

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