「ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー」 “もっとイカれ&カワイイ暴力的ファンタジーを貫いて”

スバラシネマReview

評価:  7点

Story

社会には馴染めないけど殺しの腕前はピカイチのお気楽女子2人のごく普通の青春と迫力の殺し屋家業を描いて大きな話題を集めた阪元裕吾監督のアクション・コメディ「ベイビーわるきゅーれ」の続編。主演は引き続き高石あかりと伊澤彩織。共演は丞威、濱田龍臣、渡辺哲、水石亜飛夢、中井友望、飛永翼。一緒に暮らしている杉本ちさとと深川まひろはプロの殺し屋。なのにいつもお金がなくて途方に暮れている。しかし、そんな2人よりももっと途方に暮れていたのが殺し屋協会アルバイトのゆうりとまことの兄弟。ある日、“ちさととまひろのポストを奪えば正規のクルーに昇格できる”との噂を聞きつけ、2人を殺してしまおうと決意するのだったが…。 allcinemaより

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Review

昨年前作を観て、主人公であるJK殺し屋コンビが織りなす空気感と世界観にすっかり魅了されてしまった。
ほぼ「無名」と言っていい髙石あかりと伊澤彩織という二人の若い女優たちが体現する特異な“殺し屋像”は、国内外のボンクラ映画ファンたちを虜にしたに違いない。
特にスタントマン出身の伊澤彩織は、圧倒的な体術とアクションスキルによる“説得力”を全身に帯びつつ、朴訥とした“らしさ”があまりにも魅力的だった。

そんな作品の続編が公開され、珍しく地元の映画館でも公開されるというのだから、仕事を終えた終末の夜、隣町までレイトショーを観に行った。

前作の良さがある部分においてはしっかりと引き継がれ、またある部分においては大きく欠落してしまっている続編ではあった。
まず感じたのは、作品全体のテイストが必要以上にユーモアに振られすぎている感があったなということ。

女子高生上がりの殺し屋を主人公にしたコメディであることは前作から勿論変わらないけれど、前作には殺し屋稼業を描くバイオレンス性や狂気性が明確に存在し、それに伴う大きな“振れ幅”が魅力的な映画だったと思う。
言い得て妙だけれど、本作は殆どコメディに全振りしていて、明らかにその振れ幅が少なくなってしまった分、逆にアンバランスな印象を受けてしまった。

それに付随する形で、最も「難点」だったのは、“殺し”描写をあからさまに避けすぎてしまっていること。映画作品を取り巻くどの部分に対する配慮があったのか無かったのか知らないけれど、いくら笑えてライトなコメディ映画であっても、本作が“殺し屋映画”である以上、全編通して主人公たちに明確な殺人描写を与えなかったことは、大きすぎるマイナス要因だった。

業界トップクラスの一流のアサシン(暗殺者)である主人公たちが、その反面高校を卒業したばかりの「女子」であり、社会経験や社会性の無さも相まって右往左往する“ギャップ”こそが、本作の最大の面白味であるべきで、魅力的な彼女たちのキャラクター性にただ依存してしまったことは、逆に彼女たちの魅力を半減させてしまっている。
前作よりも少し年を重ねて「女子」から「女性」へと変化していくリアルな生活感を追いつつ、しっかりと殺し屋としてのステータスや経験値、そしてバイオレンス性も高める彼女たちの生き様を追求して見せてほしかったなと。

ただそれでも、髙石あかりと伊澤彩織が二人きりで表現する女同士のキャッキャ感と絶妙な空気感には、やっぱり魅了され、それだけで三杯飯が食える。
益々アクションの鬼と化している伊澤彩織には思わず身悶えてしまう。

描き出される世界観は、まさに日本版「ジョン・ウィック」であり、そもそも破茶滅茶な設定なのだから、もっともっとイカれてカワイイ狂気的で暴力的なファンタジーを貫いて、さらなる続編に期待したい。
(新登場する落ちこぼれ兄弟コンビとの“対バン”構図は非常に良かったので、生存&再登場求む)

 

「ベイビーわるきゅーれ」映画レビュー “あたしたち、殺し屋ですのよ”
いつの時代も、“動ける”女優は魅力的で美しい。それは映画が「活動写真」と呼ばれた時代から娯楽的本質だと思う。 髙石あかりと伊澤彩織、主人公のJK殺し屋コンビを演じた二人の無名女優が、何をおいてもとても魅力的だった。

 

Information

タイトルベイビーわるきゅーれ 2ベイビー
製作年2023年
製作国日本
監督
脚本
撮影
出演
鑑賞環境映画館
評価7点

 

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画像引用:https://eiga.com/movie/98259/

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