「ヘルドッグス」“日本映画が生んだ悪人たちの狂騒劇に歓喜する”

2025☆Brand new Movies

評価:  8点

Story

兼高は警官時代に愛する人が殺される事件を止められなかったというトラウマを抱え、正義も感情も捨て復讐することにのみに生きる“闇に墜ちた男”、その狂犬っぷりに目をつけた警察組織から、関東最大のヤクザ組織「東鞘会(とうしょうかい)」への潜入という危険なミッションを強要される。そんな兼高とバディを組む室岡秀喜(むろおか・ひでき)を演じたのは坂口健太郎。室岡は死刑囚の息子という境遇ゆえに心の奥底に深い闇を抱え、組織内でも誰も手が付けられない制御不能な存在だ。2人は警察のデータ分析によると、なんと相性<98%>。警察は兼高へ室岡に喧嘩を売り、それをきっかけに東鞘会・神津組(こうづぐみ)へ潜入するよう指示を出す。もちろん二人の相性は抜群で、二人はお互いの心の隙間を埋めるように、なくてはならない存在になり、最強の“狂犬コンビ”として猛スピードで組織を上り詰めていく。 Filmarksより

<本予告>映画『ヘルドッグス』9月16日(金)全国公開
闇堕ちした元警官:岡田准一×制御不能のサイコボーイ:坂口健太郎相性98%の最強<狂犬>コンビがくり出す、究極のノンストップ・クライム・エンターテイメント!映画『ヘルドッグス』2022年9月16日(金) 全国の映画館で公開映画公式HP:公式T…more

 

Review

ズバリ面白かった。バイオレンス系のアクション映画において、日本映画は長らく韓国映画界に大きな溝を空けられていたが、本作はその状況に対するカウンターパンチになり得る一作だったと思う。
原田眞人監督、岡田准一主演ということで、一定のクオリティは期待していたが、バイオレンスアクションとしてこれほど突き抜けた映画世界を見せてくれたのは予想外だった。

岡田准一自身が主導したと思われるアクションシーンには、彼の得意分野である柔術が多分に盛り込まれ、それが裏社会の暴力として昇華されている。
実際、裏社会の人間があれほどまで地道に訓練し、体技を仕込むのかと言われれば疑問符は残るが、それも含めてこの映画ならではの娯楽性と捉えることができたし、それを違和感として感じさせない世界観の構築が見事だったと思う。
主人公が元警察官という設定を踏まえると、この男が柔術を主体とした暴力で裏社会をのし上がっていくという描写にも不自然さは感じられなかった。

こうしたアクション映画としての娯楽性や説得力を土台に展開される裏社会の人間たちの狂騒劇が独特で面白い。
主要キャラクターの中には、善人や真人間と呼べる者は一人もおらず、文字通り修羅の中に巣食う狂人たちの人間模様こそが、数々の韓国映画の傑作に匹敵するほどの映画的なパワーを醸し出していたと思う。

曲者ぞろいの登場人物の中でも、特に異彩を放っていたのは坂口健太郎演じる“サイコボーイ”室岡だ。これまで柔和な役柄しか見たことがなかっただけに、この俳優がこれほどイカれたキャラクターを演じきったことにまず驚かされ、新鮮だった。
本作の真のテーマは、岡田准一演じる主人公と坂口健太郎演じる室岡の人間関係から生まれるホモソーシャルでもある。その点からも、坂口健太郎がベストアクトを見せたことは、本作のクオリティを支えた核だった。

その他にも、松岡茉優、北村一輝、大竹しのぶらが、さすがの演技力で印象的なキャラクターを熱演している。また、ギタリストのMIYAVIや、芸人はんにゃの金田哲も、独特の存在感で狂気あふれるキャラクター像を構築していた。

ストーリー展開においては、ハードボイルドを突き詰め、余計な小細工なしで物語を推進していく姿勢が良かったと思う。
兎にも角にも、日本映画界において、ようやく骨太でアグレッシブなバイオレンスアクションが生まれたことを率直に喜びたい。

 

Information

タイトル ヘルドッグス
製作年 2022年
製作国 日本
監督
脚本
撮影
出演
鑑賞環境 インターネット(Netflix)
評価 8点

 

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