評価:
6点Story
ある日突然、ビルや人が“球体”にまるくエグられ消失する怪事件が発生──。謎を解くカギは、球体を操る能力者が守る“ある町”にあった。その町にルーツを持つ、平凡な大学生ナン丸が事件解明に巻き込まれる。彼の“念力で物に小さな穴をあける”という地味な特技は、恐るべき能力と同じものだったのだ。Filmarksより
『七夕の国』|本予告|映像化不可能と言われた「寄生獣」岩明均の“怪作”がいよいよ解禁!壮絶なスケールで描かれる不穏な3つの謎が次々と浮き彫りに―|Disney+ (ディズニープラス)2024年7月4日(木)からDisney+(ディズニープラス)で独占配信開始!登録▶︎詳細▶︎
Review
岩明均の「七夕の国」が映像化されるという情報を知った時点で、「こりゃしばらくDisney+はやめられんな」と思った。それくらい、私にとってはこの作品の映像化企画自体が圧倒的な「勝利」であり、それを実現したDisney+の信頼性を高めるものだった。
今年は長いお盆休みだったので、7月の配信開始からしばらく我慢して、休暇期間中の夜更かし時間に一気見した。
まず最初に言っておきたいのは、原作ファンとしては、この映像化自体がやはり大勝利であり、全10話を終始楽しんで鑑賞した。何よりも、岩明均の「七夕の国」が、全世界に対して視聴可能なコンテンツとして、日の目を見たことが嬉しかった。
製作自体、決して原作を軽んじることなく、真摯に向き合ってクリエイティブされていたと思う。ストーリー展開も基本的には原作に忠実だったと思うし、漫画の映像化において避けては通れないキャラクターとキャストのミスマッチも最小限に留めていたと思う。(ほぼ顔出しの出演がない山田孝之の俳優力に脱帽)
ただし、鑑賞後、必然的に原作漫画全4巻を自室の書棚から引っ張り出して、読み返してみると、やっぱり圧倒的に敵わんなとは思った。岩明均の漫画世界が孕む深い畏怖と絶妙な軽薄さが入り交じる空気感が、このドラマではもう一つ、二つ表現しきれていなかったなと。
全4巻の原作漫画自体、必ずしも深く掘り下げられた物語構造ではないのだけれど、そのシンプルで、ある部分では敢えて淡白にも感じるシーンの描写やキャラクターの言動が、逆説的に本作(原作)が孕む深い思念を浮かび上がらせていたのだと思う。
その部分が、ドラマ版では悲哀や恐怖感の、丁寧でもあり冗長でもある描きこみによって、逆に中途半端に映し出されてしまっているように思えた。
特にそれが顕著に表れていたのが、主人公における演出と演技だろう。主演の細田佳央太は決して悪い俳優ではないとは思えたが、彼が今作で体現した“ナン丸”は、原作キャラに対してやや繊細で、少々陰鬱すぎる印象を覚えてしまった。端的に言ってしまえば、主人公に対する演技プランはもっともっと馬鹿っぽくて良かったと思う。
原作漫画の面白さは、能天気な大学生の主人公がふと己の能力の本質に触れて、それにまつわる血族の宿命に引き込まれ翻弄されつつも、のらりくらりと対応しながら彼なりの「答え」を見出していくさまにあった。
その作品の本質が、ドラマ版においては、少し方向違いなキャラクター造形と余計なシーンの追加等によって、逸脱してしまっていたように思う。
物語全体のキーマンでありラスボス的な存在でもある「丸神頼之」の絶対的な能力差に対して慄き狼狽しつつも、「広すぎて 広すぎて!そうじすんのだって大変なんだぞ!!」と、わけのわからぬ主張を貫いて、結果的に相手を丸め込んでしまうクライマックスのカタルシスが、今回の映像化の中で表現しきれていなかったことは残念に思った。
あと、「手がとどく者」たちの“手”や“顔”のビジュアルは漫画通りではあったけれど、もう少し実在感の備わった特殊効果なり特殊メイクなりを追求してほしかったとも思う。
そういう意味では、ストーリー的な淡白さを表現する意味でも、VFXのクオリティを上げる意味でも、同じく岩明均の大傑作「寄生獣」の映画版を担った山崎貴監督が、今作のテイストにはもっと合致していたかもしれない。
Information
タイトル | 七夕の国 |
製作年(放映期間) | 2024年 |
製作国 | 日本 |
監督 | |
脚本 | |
撮影 | |
出演 | |
鑑賞環境 | インターネット(Disney+) |
評価 | 6点 |
Recommended
画像引用:https://www.banger.jp/news/116884/
コメント