
評価: 9点
Story
その一手が、未来を変える。 『クイーンズ・ギャンビット』は孤児院に預けられた少女が、天才的なチェスの才能を開花させていく過程を描く物語。世界チャンピオンの座を目標に奮闘する彼女だったが、次第に依存症に悩まされてしまい…。 You Tubeより
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Review
話題のNetflixドラマ「クイーンズ・ギャンビット」は、時代を超えて描き出される“天才”の苦悩と葛藤の物語だ。
と、言うと、極めてありきたりなプロットのように聞こえるかもしれない。古今東西、天才と位置づけられるキャラクターを描いた作品は、星の数ほどもあり、その大体は、彼らの苦悩と葛藤を描いている。
が、しかし、このドラマシリーズで描かれる或る一人の“天才”は、これまで数多の映画やドラマで映し出されてきた天才像とも異なり、また女性像としても特異なキャラクター造形に成功し、観る者を魅了している。
舞台は冷戦下のアメリカ。
母親の無理心中により、9歳で孤児となった少女が、絶望と孤独の狭間で運命的にチェスの才能を見出していく。
孤独で特異な少女は、自らが生きる喜びと価値を、チェスという勝負の場に見出し、才覚を高めていく。
ただし、彼女の成長過程は決して真っ当ではない。
彼女の絶対的な才能は、薬物とアルコールへの依存と“表裏一体”の状態で醸成される。
彼女は、誰もが眼を見張る才覚と美貌に満ちあふれているが、常にあまりにも危うい人間としての危機に直面している。
常に後のない危機感を抱え、そのギリギリの切っ先で、彼女は「勝負」を繰り返す。
無論、そこには勝利ばかりがあるわけではない。時に絶対的な才能の前に屈し、時に己の過ちにより煮え湯を飲まされる。
自分自身に対する怒りと、人生に対する虚無感に幾度も押しつぶされそうになる。
それでも、彼女は、チェス盤に向かい続ける。
なぜか?
最初から彼女には、この方法でしか、人生を生き抜く“術”がなかったからだ。
主人公の天才チェスプレイヤーを演じるのは、アニャ・テイラー=ジョイ。
M・ナイト・シャマランの怪作「スプリット」でのヒロイン役がまだ記憶に新しい若き女優が、この作品を見事に“支配”している。
はっきり言ってしまうと、あまりにも特徴的な眼差しでチェス盤に向かうその美しい風貌それのみで、この作品は一つの「勝利」を勝ち取っている。
それくらい、最初に目にしたNetflixのバナーに映し出された彼女のビジュアルは圧倒的だったし、劇中で常に映し出される主人公の強い眼差しそのものが圧倒的なエンターテイメントだったと言える。
一目で「異彩」を放っていることを疑わないこの若き女優が、特異な人生を織りなす天才チェスプレイヤーを演じきっている。
決して大げさではなく、全7話の中の彼女の登場シーンにおいてはただの1カットも無駄なフレームが無かった。
映像世界の中で表現される美術や装飾の一つ一つが丁寧で、リッチだったが、その中で息づくアニャ・テイラー=ジョイの一挙手一投足に釘付けになり、息を呑む。
孤独で、破滅的な主人公は、自らの才覚のみを武器にして、この「世界」に立ち向かおうとする。
敗れ、惑い、乱れていく中で、彼女を救い、高みへと押し上げたものが何だったのか。
その“答え”は、アメリカはもとより、今現在の世界そのものが求める「理想」だったように感じた。
混迷と混沌を極める現実社会は、もはや崩落待ったなしの切っ先で立ちすくんでいる。
何がこの世界を変えるのか、何がこの世界を変えてくれるのか。
もうこれまでの常識や慣習のみでは新たな光を見いだせない状況で必要なものは、絶対的な個性と、それらを認め、支え、高める多様な価値観なのではないか。
少々常軌を逸したこの作品が表現したテーマと、新時代のミューズが体現したキャラクターが伝えるものは、そういうことだったように思える。
Netflixという新時代の媒体は、「時代」が今この瞬間に求めるメッセージを発する「場所」としての地位と価値を確立している。コロナ禍で表現と発信が制限される時世では、事程左様にその価値を高めているように思う。
兎にも角にも、個人的には、主演女優が全編通して醸し出す新時代の「至宝」感が、只々堪らない。
彼女の特徴的な眼差しが、盤上の膠着を切り開くように、新しい時代を牽引する。そう信じて疑わない。

Information
| タイトル | クイーンズ・ギャンビット THE QUEEN’S GAMBIT |
| 製作年(放映期間) | 2020年 |
| 製作国 | アメリカ |
| 監督 |
スコット・フランク
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| 脚本 |
スコット・フランク
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| 撮影 |
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| 出演 |
アニャ・テイラー=ジョイ
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ビル・キャンプ
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マリエル・ヘラー
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モーゼス・イングラム
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ハリー・メリング
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アイラ・ジョンストン
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クリスティアン・サイデル
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レベッカ・ルート
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クロエ・ピリー
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パトリック・ケネディ
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| 鑑賞環境 | インターネット(Netflix・字幕) |
| 評価 | 9点 |
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画像引用:https://www.netflix.com/


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