「シカゴ7裁判」映画レビュー “混迷の時代は常に正義を問いただす”

シカゴ7裁判2020☆Brand new Movies

シカゴ7裁判

評価: 9点

Story

1968年、シカゴで開かれた民主党全国大会。会場近くでは、ベトナム戦争に反対する市民や活動家たちが抗議デモのために集結。当初は平和的に実施されるはずだったデモは徐々に激化していき、警察との間で激しい衝突へと発展。デモの首謀者とされたアビー・ホフマン(サシャ・バロン・コーエン)、トム・ヘイデン(エディ・レッドメイン)ら 7 人の男〈シカゴ・セブン〉は、“暴動を煽った”罪で起訴されてしまい、歴史に悪名をとどろかせた《類を見ないほどの衝撃的な裁判》が幕を開けることに。 Filmarksより

『シカゴ7裁判』予告編 - Netflix
1968年、世界が見守るなか、民主主義のために信念を賭けて戦った者たちがいた。#シカゴ7裁判 の予告編解禁!脚本・監督はアカデミー賞に輝いたアーロン・ソーキン。あらすじ:1968年の民主党全国大会。当初は平和的に実施されるはずだった抗議デモは、警察・州兵との間で激しい衝突へと発展。デモの主催者であるアビー・ホフマ...

 

Review

人類史において「正義」というものほど、絶大なパワーを持つ言葉でありながらも、それが指し示す意味と範疇がひどく曖昧で、都合のいい言葉はない。
世界中の誰でもが強い意志を持って掲げられる言葉だからこそ、とてもじゃないが一括にできるものではなく、本来、その是非を裁判なんてもので問えるものではないのだと思う。

今作で描き出された「裁判」においても、それぞれの主張はどこまでいっても平行線であり、折り合える余地などそもそもない。
なぜならば、被告として裁かれる活動家の面々は勿論、悪辣に描かれる裁判官にしても、微妙な立ち位置で己の職務を全うしようとする検事にしても、この映画に登場するすべての登場人物たちは、ただひたすらに己の「正義」を貫こうとしているのだから。

この裁判劇は、様々な側面から「正義」という言葉の意味とその本質を問い、その価値も、その危険性も、平等にあぶり出している。
正義を掲げる者たちが、突発的な怒りによって、いとも簡単に暴力を生み、無秩序な憎しみの螺旋に引きずり込まれるという事実。
すべての争い、すべての戦争も、詰まるところ「正義」と「正義」の衝突であるというあまりにも空虚な皮肉。

エディ・レッドメイン演じる主人公は、その現実に、自分自身が無意識のうちに呑み込まれていたことに気づき、思わず言葉を失う。

だが、それが愚かな人間の拭い去れない本質である以上、もはや絶望しても仕方がない。
自分自身の愚かさと罪を認めつつ、それでもなお、自分自身を駆り立てる「正義」を、自分の言葉で叫び続けるしかないのだ。
ラスト、主人公の“最終陳述”で発されたものは、主張でも、弁明でもなく、彼らを突き動かした「動機」そのものだった。

 

2020年、全世界的に混迷を極めたこの年にこの映画が“公開”されたことの意義はあまりにも大きい。(コロナ禍の影響による劇場公開断念を受け、いち早く権利を買い取って世界配信したNetflixの功績は大きい!)
大統領選に伴う大国アメリカの分断は、今年の混迷を象徴的に表しており、この映画で描かれた時代の空気感とも類似する。
この映画の主人公の手元にあるリストと同様に、今この瞬間も、社会の犠牲者はリストアップされ続けている。
映画の着地点と同じく、今この世界に必要なことは、一方的な「正義」の主張などではなく、大局的な見地で、この酷い「現実」を今一度直視することだろう。

 

次のメッセージが大衆の声によって高らかに発せられ今作は終幕する。

The whole world is watching !(世界が見ている!)

今まさに、私たち一人ひとりが、自分の目で世界の現実を見て、動き出さなければならないのではないか。

 

 

Information

タイトルシカゴ7裁判 THE TRIAL OF THE CHICAGO 7
製作年2020年
製作国アメリカ
監督
アーロン・ソーキン
脚本
アーロン・ソーキン
撮影
フェドン・パパマイケル
出演
エディ・レッドメイン
サシャ・バロン・コーエン
ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世
ジェレミー・ストロング
マーク・ライランス
ジョセフ・ゴードン=レヴィット
マイケル・キートン
フランク・ランジェラ
ジョン・キャロル・リンチ
J・C・マッケンジー
鑑賞環境インターネット(Netflix・字幕)
評価9点

 

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画像引用:https://www.netflix.com/

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