スバラシネマex「キャシアン・アンドー (シーズン2)」“曖昧な「正義」の境界線上の暗躍を描き出した前日譚の前日譚”

スバラシネマReview

評価:  8点

Story

シリーズ最高傑作『ローグ・ワン』へと直結する最後の4年間。伝説の原点へと続く、名もなき戦士たちの”希望”の物語が、いま始まる― 公式サイトより

『スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー』シーズン2|本予告|Star Wars(スター・ウォーズ)
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Review

2シーズンに渡った“前日譚”の“前日譚”は、主人公キャシアン・アンドーが、もたらされた「情報」の手がかりを得るために再び基地を出発するという、あまりにも地味で、飾り気のないシーンで完結した。
ある程度想定していたとはいえ、そのあまりにも潔い終幕に、思わず呆気なさを感じてしまうと同時に、深い納得感と感慨が生じていることに気づいた。
本シリーズと、この物語を彩った数々の登場人物たちのキャラクターとしての矜持が、一貫して示された帰着であり、この後に続く本当の“ラストシーズン”に向けた見事なストーリーテリングだった。

周知の通り本作は、映画史における伝説である「スター・ウォーズ(Episode Ⅳ)」の“前日譚”「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」のさらに“前日譚”である。主人公は「ローグ・ワン」で命を賭したキャシアン・アンドーであり、彼がどのような経緯で反乱軍の情報将校として身を投じたかを、SWシリーズとしては驚くほどに地味な展開で、ひたすらに描き抜いている。

シーズン1から徹底されるその地味で、だからこそ精細なストーリー展開からは、この物語と地続きであの“Episode Ⅳ”が展開されることが信じられなくなるほどに、明確なテイストの“線引き”がされていて、そのことがこのドラマシリーズのみならず、SWの世界観全体の果てしない奥行きを感じさせた。

特にこのシーズン2で強く感じた要素は、“暗躍”する者たちの悲哀と矜持であった。それは善玉、悪玉問わず、表向きに伝えられる偉業や悪行の裏で繰り広げられていた人間たちの悲痛で勇敢なドラマだった。
2シーズン通じて本作が白眉だったポイントは、そういった人間ドラマを、決して善玉とされる反乱者たちの視点のみではなく、悪玉である帝国側の数々の人間たちの視点からも描き出していることだろう。

キャシアンらを執拗に追うシリル・カーンやデドラ・ミーロをはじめ、銀河帝国の役人や軍人たちの横暴さや非道さを一側面から描くのではなく、彼ら自身の苦悩やジレンマも通じて映し出したことが、SWの世界観の中で極めて革新的なことだったと思える。

本シリーズの終盤で、“悪役”である彼らが野心の中途で潰えていく様にも、大きな悲哀を生んだことは、本作の芳醇さを証明するものだったと思う。
キャシアンやルーセンの暗躍は、無論「正義」のもとで行われたものだろう。ただ一方で、シリルやデドラが銀河帝国という巨大組織の一片として遂行した行為も、彼らにとっての「正義」だったのではないか。互いに手を汚し続けた両者の行為に何か差があったのだろうか。
それは、まさに今この現実世界で巻き起こる「正義」という名の横暴と、それによってもたらされている混乱と悲劇に対してもピタリと当てはまる問いだったように思える。

敢えて繰り返すが、地味で飾り気のないストーリーテリング故に、SWの壮大な物語の中において、本シリーズが伝える顛末は極めて小さく儚いものである。
或る不確かな「情報」を巡り、極めて多くの人間が手を汚し、命を失っていく──。
そこには、「希望」という言葉すら存在しなかったし、暗い世界の中で文字通り闇雲に蠢いただけだったかもしれない。
それでも彼らは何かに寄り添いながら、たとえ妄信的であったとしても、小さな小さな“光”を手繰り寄せるように生きた。その意味さえ疑わざるを得ないキャシアンたちの任務や犠牲、一つひとつの積み重ねが、たった一つの小さな「希望」に繋がったことに、改めて感慨深さを覚える。

ベイダー卿やレイア姫、オビ=ワンら、スターキャラクターを一切登場させることなく、反乱軍と銀河帝国両陣営の名も無き者たちの物語創造を徹底した本シリーズの真摯な姿勢を、今一度称賛したい。

 

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Information

タイトル キャシアン・アンドー (シーズン2)
製作年(放映期間) 2025/04/23 ~
製作国 アメリカ
監督 アリエル・クレイマン
ヤヌス・メッツ
アロンソ・ルイスパラシオス
脚本 トニー・ギルロイ
ボー・ウィリモン
ダン・ギルロイ
トム・ビッセル
撮影 クリストフ・ノイアンズ
マーク・パッテン
ダミアン・ガルシア
出演 ディエゴ・ルナ
ステラン・スカルスガルド
ジュネヴィーヴ・オライリー
デニース・ゴフ
アドリア・アルホナ
フェイ・マーセイ
エリザベス・デュロー
アラステア・マッケンジー
ジョプリン・シブテイン
ムハンナド・バイエル
アントン・レッサー
ベン・メンデルソーン
カイル・ソーラー
フォレスト・ウィテカー
ベンジャミン・ブラット
ジョンジョ・オニール
アラン・テュディック
ヴァラダ・セス
キャスリン・ハンター
ロバート・エムズ
鑑賞環境 インターネット配信(Disney+・字幕)
評価 8点

 

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