「ONE PIECE FILM RED」映画レビュー “正しさとは 愚かさとは 自由とは何か?”

スバラシネマReview

評価:  6点

Story

世界で最も愛されている歌手、ウタ。素性を隠したまま発信するその歌声は”別次元”と評されていた。そんな彼女が初めて公の前に姿を現すライブが開催される。色めき立つ海賊たち、目を光らせる海軍、そして何も知らずにただ彼女の歌声を楽しみにきたルフィ率いる麦わらの一味たち、ありとあらゆるウタファンが会場を埋め尽くす中、今まさに全世界待望の歌声が響き渡ろうとしていた。 物語は、彼女が”シャンクスの娘”という衝撃の事実から動き出すー。 Filmarksより

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Review

「ONE PIECE」の映画作品の鑑賞は、「STRONG WORLD」、「FILM Z」に続いて3作目。
原作漫画ファンなので、アニメシリーズは殆ど見ておらず、映画作品も公開時に評判の良かった前述の2作品を観たきりだった。
ただ、今年になって小2の息子がアニメに夢中になっており、シーズン1から延々と観続けている。
そんなこともあり、夏休みどこにも行けず暇を持て余していた子どもたちを連れて、4DXで観てきた。

本作のテーマは、「歌」を通じた「自由」という渇望とその危うさ。

「自由」とは何か?
抑圧や支配、苦しみや悲しみを安直に拒否し、それらが皆無の限られた世界に閉じ籠もることは、果たして自由か。
自由の渇望とは実はとても曖昧な概念であり、それを悪意はなくとも浅く捉えてしまったとき、自由の追求そのものが独善的な狂気になり得るということ。
これは決して大仰なテーマではなく、僕たちの普通の生活や人生の中でも、往々にして起こることだと思う。

歌手のAdoを歌唱パフォーマンスにキャスティングし、ほぼアテ書きのと思われる「UTA」というオリジナルキャラクターを造形することで、歌い手のパフォーマンスに振り切り、そういうテーマの浮き彫りに絞ったストーリーテリングは好感が持てた。
そのテーマとストーリーは、Adoを世に出したヒット曲「うっせぇわ」のセルフアンサーのようにも感じ、作品としての立体感につながっていたと思う。

オリジナルストーリーの映画であるがゆえに、キャラクター設定やストーリー展開の強引さはある。
避けられない不運が重なったとはいえ、シャンクスが娘同然の少女を十数年も放置していたことには違和感があるし、それによってウタが辿った運命は悲痛すぎる。(そのあたりについては、せめて連載漫画の扉絵シリーズなどでフォローしてほしい)

とはいえ、25年に渡って「ONE PIECE」を読み続けているファンとしては、ほぼ初披露と思われるシャンクスをはじめとする赤髪海賊団の面々のバトルシーンと、従来の敵味方が入り混じった“ドリームチーム”に、想像以上に興奮した。(まさかブルーノが萌キャラとして登場するとはな)

 

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Information

タイトル ONE PIECE FILM RED
製作年 2022年
製作国 日本
監督
谷口悟朗
脚本
黒岩勉
作画
佐藤雅将
出演
田中真弓
中井和哉
岡村明美
山口勝平
平田広明
大谷育江
山口由里子
矢尾一樹
チョー
宝亀克寿
鑑賞環境 映画館(4DX)
評価 6点

 

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