評価:
8点Story
もし世界がまだ仮想世界=マトリックスに支配されていたとしたら? ネオ(キアヌ・リーブス)は、最近自分の生きている世界の違和感に気付き始めていた。 やがて覚醒したネオは、マトリックスに囚われているトリニティーを救うため、何十億もの人類を救うため、マトリックスとの新たな戦いに身を投じていく。 Filmarksより
映画『マトリックス レザレクションズ』本予告 2021年12月17日(金)公開この冬、マトリックスが世界を変える!主演キアヌ・リーブスが人生をかけて挑む、全世界で空前の社会現象を巻き起こした今世紀最大のアクション超大作新章! もし世界がまだ仮想世界[マトリックス]に支配されていたとしたら――?ネオ(キアヌ・リーブス)は、最近自分の生きている世界の違和感に気付き始めていた。やがて覚醒したネオ...
Review
20年越しの「復活(Resurrections)」という名の「強制再起動」。
昨今90年代前後の大ヒット映画のリメイクや続編製作が連発される映画界において、本作もプロジェクトの発端そのものはその例に漏れるものではないだろう。
ただ、本作には、そういった現在の映画界に蔓延するネタ不足と、マンネリ化を超越して、「マトリックス」という映画世界そのものとそれがもたらした文化を俯瞰して再構築するという“メタ視点”と“反則技”が満ち溢れていた。
そこには、単なる“アイデア不足”にはとどまらない意欲と、本作単体としてのアイデンティティがあったと思う。
1999年と同じく、主人公ネオ(=アンダーソン)を演じるキアヌ・リーブスが、かつて「マトリックス」という大ヒットゲームを生み出した伝説的クリエイターとして登場し、ゲーム会社に囲われるようにして、惰性の日々を貪っているというメタ的設定がまず面白い。
マトリックストリロジーの顛末を経て、「救世主」としての“役割”を全うし、機械支配からの解放を促したはずの彼が、再び囚われの身になっているという状況が、何を表しているのか。
映画史の文脈を超えて、文化的、社会的な革命の象徴となった「マトリックス」という映画世界が生み出した価値は、何を生み出し、その後時代の変遷と共にどのような位置づけに変わっていってしまったのか。
そこには様々な要素と解釈が入り混じり、我々映画ファンを再び“鏡の世界”へと誘っていた。
週末の深夜、眠気と戦いながら動画配信サービスで一度観ただけでは、正直理解しきれない部分は多いし、正確な解釈をしきれていないことは我ながら明らかだ。
やっぱり出来栄えに訝しがることなく公開時に映画館で観るべきだった、と後悔は否定できない。
ただ一つ強く感じたことは、本作はオリジナルに引き続き監督を務めるラナ・ウォシャウスキー監督の極めてパーソナルな感情や心情、人生模様が如実に反映された作品として仕上がっていたということ。
マトリックストリロジーよって「自由」を掴み取ることの真意を文字通り革命的な映画世界の中で追求し、自分自身、映画人として、そして人間として、「自由」を追い続ける彼女の生き様とその強い思いが、この映画には満ち溢れている。
そう言うなれば本作は、「マトリックス」を生み出した一人であるウォシャウスキー監督だからこそ許されるセルフパロディであり、壮大な「個人映画」だったのではないかと思えるのだ。
1999年の「マトリックス」第一作のラストシーンを模した主人公たちの飛翔には、あの時と同じ高揚感を覚えた。
この後の続編がまた生み出されるのかは知らないけれど、時代が変わり、価値観が変わっても、「自由」を追求するための可能性は無限に広がり続ける。

Information
タイトル | マトリックス レザレクションズ |
製作年 | 2021年 |
製作国 | アメリカ |
監督 | ラナ・ウォシャウスキー |
脚本 | ラナ・ウォシャウスキー |
デイヴィッド・ミッチェル | |
アレクサンダル・ヘモン | |
撮影 | ダニエレ・マッサチェージ |
ジョン・トール | |
出演 | キアヌ・リーヴス |
キャリー=アン・モス | |
ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世 | |
ジェシカ・ヘンウィック | |
ジョナサン・グロフ | |
ニール・パトリック・ハリス | |
クリスティナ・リッチ | |
ランベール・ウィルソン | |
ジェイダ・ピンケット=スミス | |
プリヤンカー・チョープラ | |
鑑賞環境 | インターネット(U-NEXT・字幕) |
評価 | 8点 |
Recommended
画像引用:https://youtu.be/8PwqzRR3Oo0
コメント