スバラシネマex「ちむどんどん」“半年間のちむもやもやを耐え忍んだ達成感”

スバラシネマReview

評価:  1点

Story

 

 

Review

結局、「ちむどんどん」とは何だったのか?
最終回からはや2ヶ月、このこびりつくようなモヤモヤは、善し悪しは別にして(いやそれは分かりきっているが)、今年を象徴する一つのトピックスだったと言えよう。

2020年後期の「おちょやん」から、毎日出勤前に朝ドラを観るようになり、続く「おかえりモネ」、「カムカムエヴリバディ」と、3作連続で芳醇なドラマ世界を堪能することができていた。
朝ドラがここまで「面白い」と感じるようになったのは、自分自身が四十路を越えて随分と歳を重ねてきたことも多分に影響しているのだろう。
そういうふうに、自分自身の人生観を省みる機会としても、毎朝の15分間が貴重なものになっていた。

が、しかし、あまりにも残念なことに、「ちむどんどん」が放映された半年間においては、そんな芳醇な時間を感じることはほぼ皆無だったと言えよう。
そこにあったのは、ひたすらな茶番感と、時に嫌悪感すら禁じ得ない人間模様。
それなりに、映画だとかドラマだとかの映像作品を好んで鑑賞してきているが、これほどまでに程度の低いドラマ世界にはなかなかお目にかかれるものではない。
そう言ってしまって決して過言ではないくらいに、このドラマはきっぱりと駄作だった。

ドラマ放映期間中、同じく見ている実家の母親と会う度に、本作に対する“愚痴”はとどまることを知らなかった。
それは今尚尽きるものではなく、とてもじゃないがこのレビューの中で収まるような分量ではない。

それでも敢えて苦言を呈するならば、その際たる要素は、やはり沖縄の本土復帰50年記念を掲げたドラマでありながら、そのテーマに対する姿勢があまりにも不誠実で軽薄だったことだろう。
あの時代の沖縄で生き残り、生き続けてきた沖縄の人々を描く上で、本作のストーリーテリングは、本当にどうかしていると思うくらいに稚拙で、愚かしかった。

戦前から戦後、そして現在に至るまで、沖縄の人々が培ってきた生活や風習や人生観には、そこに生きてこなかった人間には知り得ない苦悩や悲しみが、累々と折り重なっているはずだ。
その人々の一つ一つの思いや言動を、丁寧に汲み取っていくことこそが、本作が挑むべきドラマ性だったと思う。
それをないがしろにして、いきあたりばったりで意味不明な言動を繰り広げる兄妹たちを中心とした茶番劇を見せつけられては、そりゃフラストレーションも積もり積もるというもの。

「まさかやー」「ありえん」「アキサミヨー」
全編通じて連発されたそれらの沖縄弁をまとめてお返ししたい。
今となっては、半年間に渡る途切れることなき“もやもや”を耐え忍んだことに、唯一の達成感を覚える。

 

Information

タイトルちむどんどん
製作年(放映期間)2022年(2022/04/11 ~ 2022/09/30)
製作国日本
監督
木村隆文 他
脚本
羽原大介
撮影
出演
黒島結菜
仲間由紀恵
大森南朋
竜星涼
川口春奈
上白石萌歌
宮沢氷魚
山田裕貴
前田公輝
井之脇海
飯豊まりえ
山中崇
戸次重幸
鈴木保奈美
高嶋政伸
片岡鶴太郎
原田美枝子
鑑賞環境TV
評価1点

 

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