「暴走パニック 大激突」映画レビュー “阿鼻叫喚の元祖ワイルド・スピード”

スバラシネマReview

評価: 8点

Story

ブラジルでのゴージャスライフを夢見るバーテンの山中高志は仲間の関光男と組み、派手なフェイスマスクとショットガンで銀行強盗を重ねる。しかし神戸の銀行を襲ったとき、関がトラックの下敷きになり轢死。山中はカーチェイスの末、何とか逃げ切ったが関の身元が割れる。山中は逃亡の準備を始めたが、事情を聞いていた関の兄・勝男が弟の慰謝料代わりに山中から強奪金をむしり取ろうと執拗に追いかけてくる。指命手配の山中を追う警官・畠野を交えて、道行く一般車・バイク・通行人を巻き込み、三つ巴のカーチェイスは、暴走族やラジオクルーも加わり、大パニックに発展する Wikipediaより

 

 

Review

いやはや、なんともトンデモナイ。
大胆で、猥雑で、非常識。「時代」を越えた昔の映画に対して、現在の倫理観と照らし合わせることはナンセンスだと思うが、あまりに自由で、あまりに奔放でエキサイティングな映画世界には、しがらみだらけの現代社会の中にあって、いまや「羨望」の眼差しを向けざるを得ない。

先日鑑賞した「狂った野獣」に続いての渡瀬恒彦主演作(同年製作)だったが、やっぱりこの時代のこのスター俳優の存在感と“アクション”は唯一無二であったろうことがギンギンに伝わってくる。
80年代生まれの者としては、渡瀬恒彦という俳優を認識した頃には、すでにサスペンスドラマに多数出演する好感度の高いテレビ俳優という印象が先行しており、渡哲也の実弟という立ち位置もあり俳優としてそれほど強いインパクトを感じたことはなかった。
しかし、この時代の彼の佇まいと雰囲気は、アクの強いダークヒーローであり、あらゆるアクションシーンを自分自身でこなしたという逸話も伝説的だ。
本作においても、決して正々堂々としたヒーローではなく、姑息さや残酷さも持ち合わせた犯罪者であるというキャラクター性が、ダークヒーローとしての存在感と哀愁を際立たせている。

そしてそこに「深作欣二」という巨大な劇薬が混ざり、映し出された映画世界は娯楽の混沌と化している。
中盤、本筋と外れたところで、或る変態医師のアブノーマルプレイがじっくりと映し出された時には、思わず「一体何を見せられているんだ」と困惑し呆然としてしまったが、それすらも最終的には娯楽の混沌の一要素としてまかり通してしまう圧倒的なエンターテイメント力にひれ伏すしか無かった。

クライマックスで待ち受けていたのは、タイトル通りの大暴走と、大パニック。
主人公のみならず、川谷拓三、室田日出男ら演じるこれまたアクの強い脇役たちや、通りすがりの端役に至るまで、それぞれが孕んでいた狂気性が爆発し、泥と爆音と共に入り乱れる様はまさしく阿鼻叫喚。
この時代を生きるすべての人間たちの鬱積が撒き散らされているようだった。

現代の最新カーアクション映画の筆頭といえばご存知「ワイルド・スピード」シリーズだが、50年近く前のニッポンに“元祖ワイルド・スピード”と呼ぶに相応しい映画が存在していたことを、ハリウッドの映画人たちは知っているだろうか。
あ、クエンティン・タランティーノ以外でね。

 

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Information

タイトル暴走パニック 大激突
製作年1976年
製作国日本
監督
深作欣二
脚本
神波史男
田中陽造
深作欣二
撮影
中島徹
出演
渡瀬恒彦
杉本美樹
室田日出男
川谷拓三
小林稔侍
渡辺やよい
風戸佑介
三谷昇
曽根将之
汐路章
鑑賞環境インターネット(U-NEXT)
評価8点

 

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画像引用:https://video.unext.jp/title/SID0020914

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