映画はそもそも「娯楽」であり、「娯楽映画」というジャンルこそ、映画そのものの“本質”だと思う。
国内外の映画界において、それは共通した価値観であり、したがって世界中にありとあらゆる娯楽映画が溢れている。
そんな中で、「本当に優れた娯楽映画」とはどういったものかと問われれば、
「人生を通して何度でも観たくなる映画」と答えたい。
そういった要素を備えた「娯楽映画」も数多くあるが、その中でも真っ先に思いつくのは、
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でもなく、「ターミネーター2」でもなく、
この「大誘拐 RAINBOW KIDS」だと思う。
日本が誇る娯楽映画の大巨星、岡本喜八が描き出したこの数奇な誘拐劇は、
映画としての痛快さや爽快さを大胆に散りばめた上で、真っ直ぐに「娯楽」という要素を極めている。
主演女優の偉大さからストーリー展開の巧みさまで、特筆すべき点は多々あるが、
この映画の場合、台詞回しを覚えてしまう程、何度観ても心底面白いその「愛着感」こそが、最大の価値だと思う。
今回が何度目の鑑賞かは分からないが、これからも何度もこの映画を観るだろうことは間違いない。
岡本喜八、北林谷栄、緒形拳、この愛しい娯楽映画を創り上げた3人の偉大な映画人たちの冥福を祈りたい。
「大誘拐 RAINBOW KIDS」
1991年【日】
鑑賞環境:BS
評価:10点
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