自分の意志に反して、文字通りモンスター的なパワーを得てしまった男の悲哀を描いた前作「ハルク」は、個人的には相当に好きな映画だった。
他のアメコミ映画とは一線を画す“哀しさ”が、画面いっぱいに号叫する醜い姿と絶妙なバランスで混ざり合っていたと思う。
そんなわけで、続編にもある程度の期待感はあったのだけれど、監督とキャスト陣の総入れ替えで、何となく毛色が違う作品に仕上がっているんだろうという懸念もあった。
結果として、前作と比べて随分と安っぽい映画になってしまったという印象。
前作よりも豪華なキャスト陣を揃え、ビジュアル的なレベルも上がっているので、製作費自体は高騰しているんだろうけど、あまりにチープなストーリー展開に笑えてきた。
キャラクターの性質として、そもそもが“ヒーロー”ではないわけだから、強引に敵キャラを登場させる必要なんてない。
意味不明に狂気的な軍人役のティム・ロスが、ぶっ飛んじゃってモンスター化していく様には、「せっかくのティム・ロスが……」とがっかりだった。
ラストシーンでは「アイアンマン」のロバート・ダウニーJrが出てくる始末。
あ、なんだ企画ものなんだ。。。というシマツ。
直接的な「続編」ということではそもそもなかったのかもしれないが、絶対に前作の方が面白い。
「インクレディブル・ハルク The Incredible Hulk」
2008年【米】
鑑賞環境:DVD
評価:2点
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