半世紀以上前の映画に対し、映像や美術が「稚拙だ」などと言うことは大きくお門違いで、賞賛すべきは、この時代における「SF」に対する真摯な描き出し方であり、映画史における革新性だと思う。
遠い宇宙からやってきた宇宙人、彼の目的は「退廃」へと突き進もうとしている地球人たちへの“警告”と、平和への“説得”。
当時としては革新的であったであろうSF的な要素に彩られているが、これは地球人として「進路」に対して大いなる危惧を抱いた自分たち自身への「警告」を描いた作品なのだと思う。
敵対する国際間の摩擦が、ストーリーの軸に絡んでくるあたりに、ダイレクトにそういった要素を感じる。
この映画が、半世紀以上の年月を経てリメイクされた。
リメイク作品は先日観たばかりで、物語の焦点はややこのオリジナル作品と比べるとズレている印象はあるが、半世紀以上経っても同様にこの作品の「警告」が、人類に対して“通用”するという事実を深く認識しなければならないと思う。
リメイク作品の出来映えと関連づけて言うならば、果たして人類は「進歩」しているのか?
この疑問符は取り除くことは出来ない。
「地球の静止する日 The Day The Earth Stood Still」
1951年【米】
鑑賞環境:DVD
評価:8点
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