モノクロームの「白と黒」というよりも、はっきりと「光と影」によって織りなされるスタイリッシュな映像世界に、先ず面食らう。
アニメーションの新たな表現方法としての衝撃性は高く、元来こういうビビットな世界観は嫌いではないので、充分に惹き込まれた。
ただアニメーション映画として、面白かったかというと、「もうひとつ……」という感は拭えない。
「近未来」「巨大企業」「人類存続に関わる陰謀」「謎の美女」……、もうこういうエッセンスは、近年のSF映画では使い回され過ぎていて、少しも新しさを感じない。
その結果、映像世界自体は革新的なものなのだろうけど、終始どこかで観たような感覚から抜け切ることができず、悪く言えば、大味なSF娯楽大作をちょっとセンス良くアニメチックに仕上げたくらいの印象しか残らない。
せっかく、映像的にあれほど冒険したのだから、ストーリー自体にももっと意外性のある新しい感覚を用意してほしかったと思う。
決して嫌いな世界観ではないのだけれども、「ルネッサンス」なんてタイトルも、フランスが舞台なだけに余計に安易に感じる……。
「ルネッサンス Renaissance」
2006年【英・仏・ルクセンブルク】
鑑賞環境:DVD
評価:5点
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