
評価: 8点
Story
クリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)には複雑な問題を解決する才能がある。旧知の男が殺され、その腕に「会計士を探せ」という謎めいたメッセージが残されていたため、ウルフはこの事件に巻き込まれてゆく。より極端な手段が必要だと考えたウルフは、疎遠となっていた非常に危険な弟ブラクストン(ジョン・バーナル)に協力を要請する。米国財務省のメリーベス・メディナ副長官(シンシア・アダイ=ロビンソン)と協力し、彼らは巨大な悪の陰謀を暴こうとするが、その秘密を封印するために手段を選ばない冷酷な殺し屋たちの標的になるのだった。 Filmarksより
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Review
ベン・アフレックが、天才会計士で、元軍人で、現敏腕殺し屋で、さらには高機能自閉症というアイデンティティを持つあまりにも荒唐無稽な男を演じたジャンル映画の続編。個人的には、“待望”の続編と言って間違いなく、結論から言ってしまえば、本作も非常に楽しめた。
第二弾にして、ある意味作品世界にはそぐわない「安定感」すら感じてしまうほど、主演するベン・アフレックはこの役柄にぴたりとはまっている。
前作はジャンル映画としてアクションを主軸としたストーリーテリングだったけれど、本作では、アクションシーンはそれとしてしっかりと押さえつつも、主人公クリスチャン・ウルフの人物像を深めていくコメディ要素が強まっていた。
バチバチのハードアクションを期待すると、その映画的なテンションに違和感を覚えるのかもしれないが、前作において何よりもこの主人公のキャラクター性に魅力と独創性を感じた者からすると、一作目からの“転調”も含めて、正しい続編の在り方だったと思える。
冒頭に展開される“お見合いパーティー”シーンから早速最高である。
まったくアクション要素のないコメディシーンであるが、主人公の浮き世からハズレた人間性を如実に表現しつつ、ベン・アフレックという俳優が滲み出す独特な朴念仁感も相まって、他愛もないシークエンスでありながらも、本作の方向性を示す忘れ難い余韻を残していた。
この冒頭シーンがあったからこそ、その後の展開において、主人公が実は心に携えている孤独感や、拭い去れない寂しさ、それ故の圧倒的に暴力的な優しさが、効果的に創出されていたと思う。
そういった点からも、本作は単なるジャンル映画やB級アクション映画の範疇を超えた、ちょっと記憶に残る“味わい”を持つ作品に仕上がっているのだと思える。
無論、「高機能自閉症」という障がいをキャラクター設定に扱う以上、一定以上の表現に対するセンシティビティは求められるだろう。その点に対する否定的な意見が生じることも理解できる。
ただ、個人的には、前作も含めて本シリーズで扱われている「高機能自閉症」という要素は、主人公クリスチャン・ウルフの一つの“特性”として扱われているように感じるし、それは主人公のサポートメンバーとして前作以上に活躍を見せる出身施設であるハーバー神経学研究所の面々のシーンを見ても明らかだろう。
また本作で新たに登場する殺し屋の女のキャラクターにも、「獲得性サヴァン症候群」という“特性”を与え、衝撃的な人物造形やストーリー展開に反映されていることからも、本作はむしろ意欲的に障がいや病気を、キャラクターのアイデンティティとして取り扱っている。
娯楽映画として非常に危うい設定ではあるけれど、娯楽映画だからこそ、そういった要素を取り扱い、一つのエンターテイメントとして昇華していることは、新しい時代において、むしろ真摯な姿勢なのではないかと思う。
そして、本作で忘れ難いのは、もう一つ。前作に続き、主人公の実弟として登場するジョン・バーンサル演じるブラクストン・ウルフのこれまた抜群のキャラクター性だろう。
前作では悪役の一人として登場し、弟であることが明らかになるという流れで、それほど彼のキャラクター性は描かれなかったけれど、本作においては、むしろ半分はブラクストンの映画だと言っても過言ではないくらい、兄クリスとのバディ映画として仕上がっていた。
弟には兄のような“特性”はないはずだけれど、しっかりとヤバい人間であることが、本作のユニークさに拍車をかけている。
保護犬の引き取りの電話の前に緊張しつつ長々とシミュレーションを行ったり、高級ホテルの一室で女性とプライベートを過ごしているのかと思えば、実は“仕事”を終えてギャングの一団を壊滅させていた直後だったりと、クリス以上にこのブラクストンの描かれ方も「最高」だったし、演じたジョン・バーンサルは愛すべきパフォーマンスを見せてくれている。
一方で特筆し忘れてはならないのは、本作はアクション映画としても申し分なく盛りだくさんであるということだ。締めるところはしっかりと締め、スリリングなシークエンスやバイオレンスシーンもしっかりと描き出される。そしてラストには、大規模な銃撃戦を、積み重ねられてきた訓練と経験に裏打ちされた説得力をもって描き出す。
そのあたりの作品としての精度の高さも、本作が一言にジャンル映画と軽視できないポイントであり、主演・製作として手掛けたベン・アフレックという映画人に対する信頼性が高まる要素だろう。
というわけで、Amazon独占配信で、日本では劇場公開が無かったことを勿体なく思えるくらいに、“堪能”できるジャンル映画である。
当然更なる続編も希望。もっと色々な“特性”を持ったアウトローたちの独創的な映画世界を見たい。

Information
| タイトル | ザ・コンサルタント2 THE ACCOUNTANT 2 |
| 製作年 | 2025年 |
| 製作国 | アメリカ |
| 監督 | ギャヴィン・オコナー |
| 脚本 | ビル・ドゥビューク |
| 撮影 | シーマス・マッガーヴェイ |
| 出演 | ベン・アフレック |
| ジョン・バーンサル | |
| シンシア・アダイ=ロビンソン | |
| ダニエラ・ピネダ | |
| J・K・シモンズ | |
| ロバート・モーガン | |
| グラント・ハーヴェイ | |
| アンドリュー・ハワード | |
| 鑑賞環境 | Web配信(Amazon Prime・字幕) |
| 評価 | 8点 |
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