おヒサシネマ!「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」“稀代の映画馬鹿はきっと今この瞬間も、MTGと電話に忙殺されている”

スバラシネマReview

評価:  8点

Story

IMFエージェント、イーサン・ハントに課せられた究極のミッション—全人類を脅かす新兵器が悪の手に渡る前に見つけ出すこと。しかし、IMF所属前のイーサンの“逃れられない過去”を知る“ある男”が迫るなか、世界各地でイーサンたちは命を懸けた攻防を繰り広げる。やがて、今回のミッションはどんな犠牲を払っても絶対に達成させなければならないことを知る。その時、守るのは、ミッションか、それとも仲間か。イーサンに、史上最大の決断が迫る— 公式サイトより

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Review

本作の予告編公開時に何度も流された、本作最大のバイクスタントシーンを、劇場公開時に目の当たりにして、思わず「馬鹿なの」と、主演俳優に対する最大級の称賛を込めて呟いてしまった。
トム・クルーズは、またも“限界”のその先に、文字通りその身を放り出して、「映画」という娯楽の追求に献身していた。
その様は、彼の過去作においても世界中の映画ファンから呼称され続けてきた通り、「映画馬鹿」と表現するに相応しい。

ただ、シリーズ最終作とも言われている最新作の公開を前にして、今回シリーズ全作を見返してきて改めて感じたことは、トム・クルーズは決して“無謀な賭け”をしているわけではないということだ。

危険極まりないアクションシーンを、30年にわたって歳を重ね続けた主演俳優自身が挑むということは、もちろん常軌を逸している。
でもそれは、できるかどうか分からないことに無謀に挑戦しているわけではなく、絶え間ぬ研鑽と努力、そして「確信」を伴うものだったのだと思う。

主演俳優のアクションシーンが“失敗”してしまうことで、最も困り、最も責任を問われるのは、その当人であり、映画シリーズ全体を司るプロデューサーでもあるトム・クルーズ自身である。
ハリウッドを代表する“映画人”であるトム・クルーズは、常に映画製作における予算と利益、安全とリスクに板挟みにされ続けていることだろう。
2020年から製作が開始された本作は、新型コロナウイルス流行の災禍をダイレクトに受けた。そんな中、感染症対策の安全管理を怠ったスタッフに対してトム・クルーズが激昂する音声が流出したことも記憶に新しい。

トム・クルーズは、看板俳優として、映画製作全体の責任者として、リスクヘッジを最優先し、安全と危険の狭間の極めて細い一線を、的確に選び取り、進み続けているのだと思う。
映画のプロモーション動画では、様々なアクションシーンに挑むトム・クルーズの真剣で勇敢な姿が映し出されるけれど、その背景には、実際の撮影シーンの何倍ものミーティング時間と、何百人ものステークホルダーに対する説得と、何千回もの電話・メッセージのやり取りが存在するのだと思う。

そんな観点から、シリーズを通じたアクションシーンを顧みてみると、過去作のオマージュやブラッシュアップが非常に多いことに気づく。
天井からの吊り下げも、列車シーンのスペクタクルも、クライミングアクションも、バイクスタントも、数々のカーアクションも、過去作で挑んだシーンを踏襲し、難易度と映画演出のクオリティを上げて昇華させている。

過去に挑み、成功させているからこそ、多様なノウハウと共に自信と勝算を持って、新たな挑戦をまかり通しているのだろう。
そこに存在するのは、やはりトム・クルーズを筆頭とする製作陣の研鑽と努力だと思うのだ。

 

シリーズにおいても随一である本作の膨大で練度の高いアクションシーンの数々を改めて目の当たりにして、そういうことを感じずにはいられなかった。

 

「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」 “稀代の映画馬鹿は、またも境界線の向こうに我が身を放り出す”
“Actor”とは文字通り“Action”を追求し表現し続ける“生き方”であることを、今年61歳になるハリウッドスターは、証明し続ける。 稀代のスター俳優は、“演者”としてのボーダーラインをとうの昔に超えてしまい、本作では文字通り境界のその先に我が身を放り出している。
おヒサシネマ!「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」“「本物」のアクション映画は色褪せず、価値を高める”
初回鑑賞時は、前作・前々作の娯楽映画としての圧倒的な完成度の高さと比較すると、幾分か劣っている印象があった。けれど改めて見返してみると、本作も過去作の例に漏れず、トム・クルーズが「本物」のアクションを追求したからこそ、時を経ても色褪せないエンターテインメントに満ち溢れていて、そもそも充分に合格点だった評価が、さらに上方修正された。

 

Information

タイトル ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE MISSION: IMPOSSIBLE – DEAD RECKONING – PART ONE
製作年 2023年
製作国 アメリカ
監督
脚本
撮影
出演
鑑賞環境 映画館(IMAX2D・字幕)
評価 8点

 

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画像引用:https://wired.jp/article/mission-impossible-dead-reckoning-is-the-perfect-ai-panic-movie/

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