おヒサシネマ!「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」“「本物」のアクション映画は色褪せず、価値を高める”

スバラシネマReview

評価:  9点

Story

盗まれたプルトニウムを奪還するミッションを遂行中の“イーサン・ハント”は回収に成功するが、 捕まった仲間の命と引き替えに、敵にプルトニウムを渡してしまう事件が起きた。 イーサンとIMFチームは、標的となった<3つの都市>の“同時核爆発を未然に防ぐ新たなミッション”を受ける。だがCIAは敏腕エージェントのウォーカーの同行を条件とした。猶予は72時間。 手がかりは“ジョン・ラーク”という正体不明の男の名前のみ。情報を得るため、やむなく収監中の敵“ソロモン・レーン”の脱走に手を貸すが、その影響で味方の女スパイ“イルサ”との信頼関係は失われてしまう。イーサンを疑い始めたウォーカーが睨みを効かせる中でのミッション遂行は動きを制限され困難を強いられたが、その確執は高まり、ついにイーサンはウォーカーとの対峙を迫られる。やがてタイムリミットが刻一刻と迫る絶体絶命の中で、チームの仲間や愛する妻の命まで危険にさらされる等、いくつもの<フォールアウト(影響)>がイーサン・ハントに降りかかる。 Filmarksより

映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』本予告
【君もIMF極東支部のエージェントになり、”ミッション”を遂行せよ!】IMFエージェントになれる特典付き ムビチケオンライン券 特別先行販売開始この夏、イーサン・ハントが、シリーズ最大級&最難関のミッションに挑む!!今度の”ミッション”は、…more

 

Review

最新作『ファイナル・レコニング』鑑賞前に敢行した“ミッション:インポッシブル フルマラソン”も佳境。2018年公開のシリーズ第6作目となる本作を、劇場鑑賞以来の再鑑賞。

初回鑑賞時は、前作・前々作の娯楽映画としての圧倒的な完成度の高さと比較すると、幾分か劣っている印象があった。けれど改めて見返してみると、本作も過去作の例に漏れず、トム・クルーズが「本物」のアクションを追求したからこそ、時を経ても色褪せないエンターテインメントに満ち溢れていて、そもそも充分に合格点だった評価が、さらに上方修正された。

タイトルの『フォールアウト』が暗示している通り、上から下へ“落ちる”アクションを偏執的なまでに追求している。
例によって体を張り続ける主演俳優のアクションは、相変わらず常軌を逸していて、劇中のイルサ同様に「え、この人なにするつもり?」の連続である。
『ゴースト・プロトコル』の“ブルジュ・ハリファ・クライミング”や、『ローグ・ネイション』の“輸送機しがみつき飛行”のような、映像的に分かりやすく派手なアクションシーンや、目新しいギミックによる華美な娯楽シーンはないのだけれど、改めて鑑賞してみると、一つ一つのアクションシーンにおいて「とんでもないことやってんな」と息を呑む。

ストーリー的にも、スパイ映画らしい駆け引きや騙し合い、三つ巴、四つ巴の攻防が全編通して展開されており、緊張感を持続させるストーリーテリングが見事だったと思える。
そして本作も、前作に引き続き、キャスティングの妙味がストーリー展開を支えていたと思う。

前作に続きイルサ・ファウストを演じるレベッカ・ファーガソンは言わずもがな。密命によりイーサン・ハントらIMFチームの妨害と駆け引きを繰り広げつつ、彼らに対する信頼は揺るがない絶妙なポジションで、ヒロインとしての魅力を放っている。

シリーズ1作目で登場する武器商人マックスの娘であり、武器仲買業を継ぐホワイト・ウィドウを演じるヴァネッサ・カービーも良き。狡猾にハントやCIAを利用し暗躍しつつも、惜しみなく妖艶さを振りまく悪女像が、スパイ映画を見事に彩っていた。

前作の宿敵ソロモン・レーンを再演したショーン・ハリスも、やはり良い。収監され、前作の風貌からは見る影もない生気のない髭面になっているが、あの独特な声色一つで、前作同様の異質な悪役像を再現させており、素晴らしかったと思う。

そして、ソロモン・レーンを隠れ蓑として、本作における真のヴィランとして登場するオーガスト・ウォーカーを演じるヘンリー・カヴィルのキャスティングも絶妙だった。
“鋼鉄の男”から一転して、卑劣な裏切り者としてイーサン・ハントと一騎打ちをするクライマックスは、非常にエキサイティングだった。

さらに個人的には、クライマックスにおいてミシェル・モナハン演じるハントの元妻ジュリアを再登場させ、“再び”ハントを救う役割を与えていたことが、とても胸熱だった。
勇敢にも核爆弾解除の手助けをし、微妙な立ち位置に困惑していたイルサが、彼女の言動を聞いて思わず「ステキなひと(I like her)」と言ってしまうシーンがとても好きだった。

そして最後は、今回もとんでもないミッションをやり遂げたチームのメンバーと共に、「笑わせるな」といつもの笑顔を見せるイーサン・ハントで締める。
「ああ、なんだ、やっぱり最高かよ」とエンドロールを迎えずにはいられない。

 

「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」<8点>
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Information

タイトル ミッション:インポッシブル/フォールアウト MISSION: IMPOSSIBLE – FALLOUT
製作年 2018年
製作国 アメリカ
監督
脚本
撮影
出演
鑑賞環境 インターネット(字幕・U-NEXT)
評価 9点

 

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