おヒサシネマ!「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」“本作がシリーズ唯一無二の作品である3つの理由”

スバラシネマReview

評価: 10点

Story

超敏腕スパイ:イーサン・ハント率いるIMFは無国籍スパイ「シンジケート」の暗躍により、またしても解体の窮地に追い込まれてしまう。イーサンはこの最強の敵にどう立ち向かうのか?誰が敵か味方かわからない中、究極の諜報バトルが繰り広げられる。史上最難関のミッションをコンプリートできるのか!?イーサンの究極の「作戦」とは? Filmarksより

 

Review

「ミッション:インポッシブル」シリーズ第5作目の本作も、今回で通算5回目の鑑賞となり、数多のアクション映画群の中でも、自分にとって特にフェイバリットな作品であることを、鑑賞する度に痛感している。
10年前に、劇場公開時に初鑑賞した際も、もちろん興奮して映画館を後にしたことをよく覚えているけれど、その後鑑賞を重ねる度に「最高だな」と思わせる本作には、映画作品としての本質的な品質の高さと、芸術にまで高められたスパイアクションの真髄が深く刻み込まれていたのだと思う。

スパイアクション映画としての上質さを語る上で、特筆すべきポイントが3つある。

まず一つは、映画の冒頭シーンでいきなり展開される大アクションシーンだ。主人公イーサン・ハントを演じるトム・クルーズが、輸送機の扉に捕まったまま機体が飛び立つという本作公開時のプロモーション時にも何度も繰り返し映し出されたあのシーン。
当時既に50歳を越えたハリウッドスターが生身で敢行するにはあり得ないアクションシーンである。が、重要なのは、このシーンの迫力そのものというよりも、このシーンが映画冒頭のアバンタイトルであったということだ。
あの大アクションシーンを、ストーリーテリング上のクライマックスではなく、“掴み”としてのある種のサービスシーンとして展開させる演出に、本作のスパイアクションとしての気概を感じる。

本作から監督起用されたクリストファー・マッカリーが、前作「ゴースト・プロトコル」の成功要因を踏まえた上で、冒頭には唯一派手なアクションシーンを入れつつ、「ここからは私の趣向でやらせてもらう」という映画監督としてのプライドを示していたのと思える。
そして、タイトルクレジット以降の展開では、前作までの派手なアクション描写は極力抑えられ、代わりに時に気品さえ感じる上質で骨太なアクションシーンが積み重ねられていく。
この映画世界を構築したマッカリー監督が、本作含めて4作品に渡ってシリーズ作の監督を務めていることからも、本作の到達点が「ミッション:インポッシブル」という世界観の最適解だったことが分かる。

 

そして、二つ目が、「悪役」の存在感だ。当シリーズの各作品に共通する数少ないウィークポイントの一つとして、登場する「悪役」の存在感の弱さを感じ続けていた。
そこには、悪役のキャラクター性自体の弱さももちろんあったが、それ以上に主人公イーサン・ハント及びそれを演じるトム・クルーズの存在感が、良い意味でも悪い意味でも強大すぎていて、どうしても悪役の存在感が薄れてしまう傾向があったのだと思う。
でも、本作で登場する謎の犯罪組織シンジゲートを率いる“ソロモン・レーン”の、悪役としての存在感は抜群だった。狡猾で冷酷な元MI6の諜報員というキャラクター性が、イーサン・ハントとの合わせ鏡のような性格も持ち、主人公と同レベルの存在感を放つ要因になっていた。
演じるショーン・ハリスの演技プランも素晴らしく、感情をほとんど見せない表情と独特のかすれた声が、悪役としての恐怖感と緊張感を際立たせていた。
このシリーズ随一の印象的な悪役が、終始ハント率いるIMFのメンバーを危機に陥れつつも、最後の最後の“オチ”で逆転され、怒りと屈辱に満ちた表情を見せる様が、本作のスパイ映画としての娯楽性を最大限に高めていたのだと思える。

 

最後に三つ目。個人的にはこれが本作において最も重要な要素なのだが、“イルサ・ファウスト”というキャラクターの造形である。
犯罪組織シンジゲートの構成員の一人として登場する謎の美女イルサが放つ華やかさと奥ゆかしい美しさ、そしてこのキャラクターが孕んでいる悲痛と切なさこそが、本作の映画世界を支える肝であり、唯一無二の魅力であると断言したい。
彼女が本作のストーリーテリングにおいて、孤独な闘いを繰り広げ、イーサン・ハントを助け、欺き、そして共闘する。その駆け引きこそが、本作のスパイ映画の醍醐味を生み出していた。
従来のスパイアクションに登場する類型的な“女スパイ”や“ヒロイン”ではない、より多層的な感情や背景を孕んだキャラクター造形が見事だったと思える。

 

イルサを演じたスウェーデン人女優レベッカ・ファーガソンは、今やハリウッドを代表する女優の一人であるが、2015年時点で彼女を射抜いたトム・クルーズの審美眼は流石である。
監督の起用、悪役のキャスティングも含めて、そこにはやはり、映画人トム・クルーズの「仕事」が如実に反映されていた。

 

「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」<10点>
予告編をはじめとするプロモーション映像で散々映し出されていた“あのアクションシーン”が、冒頭でいきなり展開され、それが今作の贅沢な“つかみネタ”であったことを知った時、「やっぱこの人は馬鹿だ」と思った。「トム・クルーズは、本物の映画馬鹿だ」…more

 

Information

タイトル ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション MISSION: IMPOSSIBLE ROGUE NATION
製作年 2015年
製作国 アメリカ
監督
クリストファー・マッカリー
脚本
クリストファー・マッカリー
撮影
ロバート・エルスウィット
出演
トム・クルーズ
ジェレミー・レナー
サイモン・ペッグ
レベッカ・ファーガソン
ヴィング・レイムス
ショーン・ハリス
アレック・ボールドウィン
サイモン・マクバーニー
イェンス・フルテン
チャン・チンチュー
鑑賞環境 インターネット(Amazon Prime Video・字幕)
評価 10点

 

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