「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」 “稀代の映画馬鹿は、またも境界線の向こうに我が身を放り出す”

スバラシネマReview

評価:  8点

Story

IMFエージェント、イーサン・ハントに課せられた究極のミッション—全人類を脅かす新兵器が悪の手に渡る前に見つけ出すこと。しかし、IMF所属前のイーサンの“逃れられない過去”を知る“ある男”が迫るなか、世界各地でイーサンたちは命を懸けた攻防を繰り広げる。やがて、今回のミッションはどんな犠牲を払っても絶対に達成させなければならないことを知る。その時、守るのは、ミッションか、それとも仲間か。イーサンに、史上最大の決断が迫る— 公式サイトより

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Review

“Actor”とは文字通り“Action”を追求し表現し続ける“生き方”であることを、今年61歳になるハリウッドスターは、証明し続ける。

1996年にトム・クルーズ自身の手によって製作された「ミッション:インポッシブル」シリーズの最新第7作。
27年余りの年月を経て、主人公イーサン・ハントを体現し続ける稀代のスター俳優は、“演者”としてのボーダーラインをとうの昔に超えてしまい、本作では文字通り境界のその先に我が身を放り出している。
数ヶ月前にYou Tubeで公開された本作最大のスタントシーンのドキュメント映像を見たときには、トム・クルーズの“映画馬鹿”としての気質を重々理解していた上でも、思わず「馬鹿かよ」と口に出さずにはおられず、ニヤつきが止まらなかった。

これまでのシリーズ作同様に、アクションシーンのアイデアを起点としてストーリー展開が構築されるスタイルは本作も変わらず、むしろさらにそのコンセプトが加速している。
163分の長尺の上映時間ほぼ目いっぱいに展開される数々のアクションシーンは、どれも驚きと娯楽性に溢れていて、そのアクションの過剰なエンターテインメント性に対して、ストーリーテリング自体が振り落とされないように必死にしがみつているような印象すら覚えた。
特に本作は、シリーズ初の二部構成の“前編”ということもあり、多少のストーリー的な説明不足感や、真相や伏線回収はあえて放置して、ひたすらにアクション描写に振り切っているようにも感じた。

ただその一方で、描き出されるテーマとほぼイコールの存在として描き出される本作の「敵」は、この2023年の映画としてあまりにもタイムリーであり、トム・クルーズの映画プロデューサーとしての視点の確かさにも感服する。
劇中“それ”と呼称され、全世界へ支配力を強める神のごとき存在として対峙する“AI”との戦いは、まさに「デッドレコニング(=推測航法)」の主導権を巡る戦いであり、すなわち人間とAIにおける未来の覇権争いへと繋がっていく。

無論、来年公開予定の続編がただただ待ち遠しいが、本作の各シーンでセルフオマージュされた「ミッション:インポッシブル」第一作からまた見直しつつ待つことにしよう。
ただひとつ、“彼女の死”がフェイクであることを願いながら。

 

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Information

タイトル ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE MISSION: IMPOSSIBLE – DEAD RECKONING – PART ONE
製作年 2023年
製作国 アメリカ
監督
脚本
撮影
出演
鑑賞環境 映画館(IMAX2D・字幕)
評価 8点

 

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画像引用:https://wired.jp/article/mission-impossible-dead-reckoning-is-the-perfect-ai-panic-movie/

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