「アムステルダム」映画レビュー “あの街はいつか再び彼らを迎えてくれたのだろうか”

2022☆Brand new Movies

評価:  8点

Story

世界の歴史を変えた衝撃的な陰謀の裏側を描いた、ありえないけど“ほぼ実話”。 1930年代ニューヨーク、かつてアムステルダムで出会った3人の友人たちが ある殺人事件の容疑者となり、思いがけず全世界に渦巻く 巨大な陰謀へと巻き込まれていくことに― 公式サイトより

映画『アムステルダム』予告【ありえないけど、ほぼ実話!編】10月28日(金)劇場公開
本年度アカデミー賞®有力候補!デヴィッド・O・ラッセル監督が、クリスチャン・ベール、マーゴット・ロビー、ジョン・デヴィッド・ワシントン、アニャ・テイラー=ジョイ、テイラー・スウィフト、ラミ・マレック、ロバート・デ・ニーロら豪華キャストで贈る、愛と友情のクライム・ストーリー。世界の歴史を変えた衝撃的な陰謀の裏側を描...

 

Review

戯曲のように自由闊達で雄弁な語り口。そして、人物たちの強い眼差し。
想像以上に突飛で、時にアバンギャルドな映画世界中で、唖然とするシーンも多かったが、それ故に明確な意思の強さを感じる作品だった。
その彼らの意思の強さは、今この混迷極まる世界、そして時代の最中において相応しく、大きな存在感を放っていたと思えた。

第一次世界大戦の戦場で知り合い親友となった男女が、1930年代のニューヨークで再会し、陰謀渦巻く殺人事件に巻き込まれる。
冒頭から見るからに常軌を逸した“変人”医師として登場する主人公“バート”を演じるクリスチャン・ベールが、特異な存在感を放ち、観る者に対して、本作が良い意味で“マトモな映画ではない”ということを半ば強制的に呑み込ませてくる。
そして矢継ぎ早に展開される解剖シーンと殺害シーンで、観客をドン引きさせると共に、本作が描く時代の混迷へと引きずり込む。
その観客の感情や心の準備なんてお構いなしに、本作が描き出すべきテーマと、それを織りなす時代を表現する冒頭の展開は、極めて強引で暴力的だけれども、同時にシニカルで痛快でもあり、本作が孕む本質的なエンターテイメント性を伝えていたと思う。

タイトル「アムステルダム」は、主人公ら3人が意気投合し、束の間の安寧を謳歌した街として映し出される。
戦禍の悲痛を経て、喜びと多幸感に溢れる青春の様を描いたその短いシークエンスは美しく、3人がその後の人生においてもその日々を心の拠り所として生きてきたことがありありと伝わってくる。
その中で、マーゴット・ロビー演じる“ヴァレリー”は、まさしく太陽のような輝きと強さを併せ持ち、圧倒的な魅力を放っていたと思う。その後時を経て再登場し、一転して月のような儚い輝きと陰影を表現していたことも印象的だった。(マーゴット・ロビーは、今やハリウッドにおいてその出演作にもっともハズレが無い女優の一人だと思う)

次々に登場するオールスターキャストもみな印象的で素晴らしい。
ジョン・デヴィッド・ワシントン、ゾーイ・サルダナ、クリス・ロック、マイク・マイヤーズ、マイケル・シャノン、アニヤ・テイラー=ジョイ、ラミ・マレック、そしてロバート・デ・ニーロ。殆ど事前情報を入れずに鑑賞に至ったこともあり、個性的な豪華キャストが登場するたびに驚き、高揚した。

特異なストーリーテリングとテンションが全面的に繰り広げられる作品なので、必然的に“お手本通り”に“万人受け”するタイプの映画ではないだろう。正直、間延びしていたり、展開的な違和感を感じる場面も少なくはない。
ただその映画的な歪さや、ある意味での居心地の悪さも含めて、本作が試みたブラックユーモアであり、現実の世界にも通ずるシニカルな批評性の表れだったのだと思う。

主人公は、文字通り満身創痍の身体と己の人生を受け入れて、引き続きこのクソみたいな世界で生き続けることを決心する。
その先に本当の愛はあったのだろうか。3人の親友たちはいつか再会して再び歌い合うことができたのだろうか。
アムステルダムの街は、また美しく、彼らを迎えてくれたのだろうか。
この映画の終幕の後に展開する世界の行く末と、彼らの人生模様を想像して、少し胸がキュッとなった。

 

Information

タイトルアムステルダム AMSTERDAM
製作年2022年
製作国アメリカ
監督
デヴィッド・O・ラッセル
脚本
デヴィッド・O・ラッセル
撮影
エマニュエル・ルベツキ
出演
クリスチャン・ベイル
マーゴット・ロビー
ジョン・デヴィッド・ワシントン
クリス・ロック
アニャ・テイラー=ジョイ
ゾーイ・サルダナ
マイク・マイヤーズ
マイケル・シャノン
ラミ・マレック
ロバート・デ・ニーロ
鑑賞環境映画館(字幕)
評価8点

 

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