「ナイル殺人事件」映画レビュー “嗚呼、なんて不憫な名探偵”

スバラシネマReview

評価:  5点

Story

全世界で20億冊以上を売上げる「世界一売れている作家」アガサ・クリスティ原作。 “世界一の名探偵”ポアロが挑む、エジプトの神秘ナイル川をめぐる極上の《ミステリー・クルーズ》。 大富豪の美しき娘の新婚旅行中に、クルーズ船内で起きた連続殺人事件。容疑者は、結婚を祝うために集まった乗客全員…。 豪華客船という密室で、誰が何のために殺したのか?そして、ポアロの人生を大きく変えた≪衝撃の真相≫とは? 愛と嫉妬と欲望が複雑に絡み合う、禁断のトライアングル・ミステリーの幕が開く。 Filmarksより

映画『ナイル殺人事件』本予告【愛の数だけ、秘密がある編】2月25日(金)映画館で公開
アガサ・クリスティ原作“世界一の名探偵”ポアロが挑む、エジプトの神秘ナイル川をめぐる極上の《ミステリー・クルーズ》。大富豪の美しき娘の新婚旅行中に、クルーズ船内で起きた連続殺人事件。容疑者は、結婚を祝うために集まった乗客全員…。豪華客船という密室で、誰が何のために殺したのか?そして、ポアロの人生を大きく変えた≪衝...

 

Review

梅雨の日曜日。特に天気が悪いわけではなかったが、前夜の深酒がたたり午後になっても二日酔いが辛かったので、部屋に引きこもって映画を観ることにした。
随分前から動画配信サービスのマイリストに入りっぱなしになっていたケネス・ブラナー版の「オリエント急行殺人事件」を鑑賞し、立て続けにその続編である本作「ナイル殺人事件」を鑑賞。
異国情緒溢れる豪華絢爛な映画世界をトータル4時間分堪能して、取り敢えず満腹感は大きい。

「オリエント急行殺人事件」と同様に、本作の原作「ナイルに死す」も過去幾度も映像化された作品。ピーター・ユスティノフがポワロを演じた1978年の映画作品も鑑賞済みだった。ストーリーテリングの細かい部分の記憶が薄れていたので、ミステリが展開していく流れについては新鮮に楽しめた。
がしかし、最終的に残った感想としては、1978年版を鑑賞した時と同じ不満を覚えた。

それは、「さすがに3人は殺されすぎじゃないか?名探偵さんよ」ということ。

無論のことながら、そもそも殺人事件が起きなければ「名探偵」というキャラクターは成立しないわけで、それはシャーロック・ホームズから江戸川コナンに至るまで古今東西の名探偵キャラの宿命であり苦悩であろう。

ただこのナイル川における連続殺人については、ポワロの失態と言わざるを得ない。
“オリエンタル急行”の場合は、殺人が計画されていた車両にあくまでも「偶然」乗り合わせた状態だったろうが、今回の場合は全く異なる。
身の危険を感じていた被害者本人から依頼され、「危険人物」とされる人間の存在も確認していながら、まんまと依頼人は殺され、第2、第3と惨劇は続き、最終的にはそれ以上の死人を生む悲劇へ終着してしまう。

しかも、大富豪御用達の豪華客船とはいえ、それほど巨大とは言えない船内での事件なので、ご自慢の“灰色の脳細胞”をフル回転させれば、惨劇を最小限に食い止める方法はいくらでもあっただろうと思ってしまう。

更に今回のリメイクでは、原作からの改変により、第3の被害者がポアロ自身の友人に変更されている。
目の前で殺人が行われた上に、大切な友人まで失う始末。嗚呼、なんて不憫な名探偵だろうか。

ケネス・ブラナー監督自身が、エルキュール・ポアロを演じるという大車輪の活躍を見せるこの新シリーズは、過去の作品よりもより一層ポアロという人間そのものの内面を抉り出そうとしている。
また、人種問題をより浮き彫りにさせたり、ジェンダー問題を想起させるキャラ設定の追加をしたりと、決して小さくない改変に挑んでいる。
現代においてリメイクするにあたって、その意欲的な試み自体は評価したいところだけれど、それが作品世界の中で効果的に作用しているとは言い難い。
改変箇所が単なる「違和感」と感じてしまう部分は少なくない。

当初は計画していたエジプトロケが叶わず、シーンの大半をCG合成に頼らざるを得なかったことなど、作品全体から垣間見える「歪さ」は、製作における苦労を多分に物語っている。
そんな中でも、この原作に相応しい絢爛豪華な「雰囲気」だけはきっちりと保って、娯楽性を保っていることは、ケネス・ブラナーの堅実な映画作りによるものだろう。

次作のプロジェクトもまだ残っているようなので、落としてしまった“髭”を蓄え直してどうか頑張ってほしい。

 

「オリエント急行殺人事件」映画レビュー “王道に溢れる豪華絢爛な様式美”
とても真っ当に「豪華絢爛」な映画だったと思う。 豪勢に作り込まれた列車内の美術や調度品、雪原を突き進む急行列車の雄大な風景、そして昨今ではなかなか見られない“オールスターキャスト”。 それらの娯楽要素がこの映画企画の中核であることは間違いなく、求められるクオリティでしっかりと仕上げてみせている。
「ナイル殺人事件」
数多のミステリー作品のもはや「礎」とも言えるものが、アガサ・クリスティのミステリーだと思う。それは「王道」であり、ありきたりに感じようが、展開が強引で腑に落ちないと感じようが、否定出来る術は無い。 ただその「王道」に対…more

 

Information

タイトルナイル殺人事件 DEATH ON THE NILE
製作年2020年
製作国アメリカ
監督
ケネス・ブラナー
脚本
マイケル・グリーン
撮影
ハリス・ザンバーラウコス
出演
ケネス・ブラナー
ガル・ガドット
アーミー・ハマー
エマ・マッキー
トム・ベイトマン
レティーシャ・ライト
アネット・ベニング
ラッセル・ブランド
アリ・ファザール
ドーン・フレンチ
ローズ・レスリー
ソフィー・オコネドー
ジェニファー・ソーンダース
鑑賞環境インターネット(字幕・U-NEXT)
評価5点

 

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