アガサ・クリスティ原作のこの映画に対する「名作」という評は、随分と前から認知していた。
10年以上前にレンタル落ちのビデオテープも購入し保有していたのだけれど、なかなか観ようという食指が動かず、観る機会がなく、ビデオ自体どこかにいってしまっていた。
食指が動かなかった最大の理由は、“ストーリーのオチ”を知ってしまったからに他ならない。
原作も映画もあまりに有名な作品なので、どこかしらからミステリーの顛末が耳に入ってしまったのだ。
オチを知ってしまったミステリーほど魅力減のものはないわけで、随分長い間観たい映画の候補リストにも入ってこなかったわけだ。
TSUTAYAの企画棚に並んでいるのを見て、満を持して鑑賞に至ったわけだが、なるほど面白い。
何たってアガサ・クリスティのミステリーなので、そのストーリー展開はもはやミステリーの「定番」といったもので目新しさはない。
しかし、描き出される映画世界には、もちろん古き時代の空気感は感じるが、往年の娯楽映画によくある“古臭さ”は全くなかった。
それは名匠シドニー・ルメットの卓越した映画創りによるものだろうと思う。
前述の通り顛末は知ってしまっていたので、ミステリーに対する“驚き”は少なかったが、それでも思わず唸りたくなるような「真相解明」は、流石に上質だった。
「オリエント急行殺人事件 Murder on the Orient Express」
1974【英】
鑑賞環境:DVD
評価:8点
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