おヒサシネマ!「アイアンマン」“RDJのキャスティングこそが、MCUの大発明”

スバラシネマReview

評価:  9点

Story

アフガニスタンで自社兵器のデモ実験に参加したトニー・スタークは、テロ組織に襲われ拉致されてしまう。胸に深い傷を負い捕虜となった彼は、組織のために最強兵器の開発を強制される。トニーは装着することで、圧倒的な破壊力とパワーを発揮できる戦闘用パワードスーツを敵の目を盗み開発。敵地からの脱出に成功するが、奇跡的に生還したトニーは、ある事実を知り愕然とする・・・。自らが社長を務める会社が開発した兵器がテロ組織に使用されていたのだ。トニーはその償いをすべく、テロ撲滅に命を捧げることを決断。最先端の技術を駆使し、新たなパワードスーツの開発に着手する。 公式サイトより

 

Review

「エンドゲーム」での一つの大きな区切りを経て、“フェーズ4”以降新たに展開された“マルチバース・サーガ”。マルチバースという文字通りの大風呂敷を目いっぱいに広げて、MCUの世界観をまさに別次元へと押し広げるべく各作品が生み出されたわけだけれど、正直言ってその試みは、「成功」しているとは言い難かった。
作品一つ一つが失敗しているというわけではなく、MCUという大きな流れの中で、各作品があまりにも縦横無尽に様々な支流を展開させてしまっていた。
結果的に、“フェーズ3”までの“インフィニティ・サーガ”のような奇跡的な作品同士の連なりを生み出せず、個性的でアクの強い各作品が、散文的に点在したままになっているというのが、MCUの現在地点であり、かつてのような勢いを失ってしまった要因であろう。

個人的に、“マルチバース”の世界観自体にはとても深い興味を抱いているし、現実世界の人類が“まだ見ぬ世界”への想像と創造は、やはりエキサイティングだ。
それは、かつての人類が、SF映画の発展とともに、この宇宙の果て隅々まで旅をして、感動や恐怖を紡いできた文脈とも共鳴する、新時代のエンターテインメントが辿るべき方向性なのだと思える。

混迷し、氾濫を起こしてしまったMCUの流れを、また一つの本流へ呼び戻すために、マーベルが頼ったのは、やっぱりあの男だった。
MCUにロバート・ダウニー・Jrが復帰するという発表は、全世界のMCUファン、映画ファンを大喝采と共に高揚させ、同時にどこか安堵感ももたらした。

“フェーズ5”で残された「デッドプール&ウルヴァリン」や「サンダーボルツ*」は、続く“フェーズ6”に向けてMCUの“反撃”を充分に予感させるものだった。
僕自身、MCUに対する少なからずの食傷が霧散し、新たな期待感が高まってきている。

 

そこで今一度、MCUを見直し、どうせならスルーしていた各ドラマシリーズにも挑んでみようと思いたち、原点回帰の思いを込めて、「アイアンマン」を鑑賞した。
ストーリー展開の無駄の無さ、映画的な表現の巧さ、MCUにとって本作のクオリティー的な成功が、まさしくエポックメイキングであったことは疑いようもない。

主人公トニー・スタークは、不意に訪れた絶体絶命な危機から、気づき、学び、工夫し、“アイアンマン”を自ら“発明”していく。
そのスーパーヒーローとしての立ち位置の特異性、トニー・スターク自身のキャラクターの独自性が、MCUという「時代」を生み出したと言っても過言ではないだろう。

本作のラストで発される「 I am Iron Man」が、“インフィニティ・サーガ”の全作を貫き、最期の台詞に昇華されることを知っている今となっては、この第一作のすべてが感慨深かった。

改めて痛感する。MCUにとっては、ロバート・ダウニー・Jrのキャスティングこそが、最大の発明だったのだと。

 

「アベンジャーズ/エンドゲーム」<10点>
《ネタバレあり!》トニー・スタークがアイアンマンになって10余年。僕たちは、彼が幾つもの眠れぬ夜を過ごしてきたことを知っている。そのトニーの姿を一番近くで見続けていたのは、他の誰でもなくペッパー・ポッツだったということ。だからこそ、ポッツは…more

 

 

Information

タイトル アイアンマン IRON MAN
製作年 2008年
製作国 アメリカ
監督
脚本
撮影
出演
声の出演
鑑賞環境 インターネット(Disney+・字幕)
評価 9点

 

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