評価:
8点Story
殺し屋コンビのちさととまひろが繰り広げる、笑いとスリル満載の日常と非日常を描く作品。血まみれのアクションから、ほのぼのとした料理シーンまで、彼女たちの生活は驚きと共感で溢れている。互いに支え合いながらも、ブラックユーモアたっぷりに展開するストーリーは、一度観始めると目が離せない。
【予告】水ドラ25「ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!」第1話|テレビ東京テレビ東京 水ドラ25「ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!」2024年9月4日(水)スタート毎週水曜深夜 1:00〜1:30放送『ベイビーわるきゅーれ』連続ドラマ化!脱力系殺し屋女子コンビが地上波で暴れまくる⁉テレ東ドラマ史上最高アクション…more
Review
コンビで殺し屋を生業とする杉本ちさとと深川まひろ、通称“ちさまひ”のゆる〜い私生活が織りなすドラマシリーズなのだろう、と放送開始直後は思っていた。 しかし、最終的にこのドラマが辿り着いた「境地」は、そんな予想を(まるでまひろがソファを飛び越えて寝転がるように)ひょいっと超えた。いや、それどころか結構とんでもないところに到達してしまった。
二人の主人公が醸し出すのは、“ゆるカワ”な雰囲気と表裏一体で共存する、明確な“死”の濃い香り。女子二人でわちゃわちゃと楽しげに毎日を送っているように見えても、彼女たちはやはり修羅の底に生きていた。その刹那的で破滅的な生き様に、そしてそれでもどうしようもなく愛おしい“ちさまひ”の心象風景に、涙を誘われた。
“エブリデイ!”というタイトルに込められていたのは、彼女たちの「日常」そのものだ。
ただし、それは普通の人にとっての日常ではなく、“殺し屋”である彼女たちにとっての「日常」である。
生活費を稼ぐための億劫なバイト生活も、指令一つで見ず知らずの人間を無感情で暗殺することも、すべてが彼女たちにとっては「日常」の一部だ。このドラマはその「日常」を徹底的に突き詰めて描き出していたように思う。
そうして浮かび上がったのは、決して“殺し屋”という特殊な職業に限らず、同年代の女性たちがみな抱えているだろう葛藤や悩み、ジレンマだった。
やりたくない仕事に思い悩むこと。自分にはできないことを簡単にこなす他人を羨んだり、そんな自分を責めたり。もっと別の生き方があるのではないかと現実から逃げたくなる瞬間。
仕事そのものを全否定したくなったり、理不尽で醜悪な上司に怒りを募らせ殺意さえ覚える感情。
これらは現代社会に生きる誰もが共感できる、普遍的なテーマだ。
そんな現代人のジレンマを、映画3作を経て成長してきた“ちさまひ”の視点から描いた本作は、ユニークでありながら、深く共感できる作品だった。
殺し屋としても、社会人としても、女性としても紆余曲折を経て成長する彼女たちの姿には、笑いと同時に、強く儚い、アンビバレントで複雑な感情が湧き上がる。
ドラマというフォーマットだからこそ可能になった、彼女たちの生活の隅々までを覗き見る楽しさと、その裏側にある重厚なテーマが絶妙に絡み合っていたと思う。
放送期間中には、主演の一人である髙石あかりの朝ドラヒロイン抜擢が発表され、ファンとしてこれ以上ない喜びを感じた。一方の伊澤彩織も、圧巻のアクションスキルと独特の存在感で、今後さまざまな作品で引っ張りだこになるだろう。
これから“ちさまひ”のキャスティングが簡単ではなくなるかもしれないけれど、それでも二人の「生活」をまだまだ追い続けたい。と、切に思う。
Information
タイトル | ベイビーわるきゅーれ エブリデイ! |
製作年(放映期間) | 2024/09/04 ~ 2024/11/20 |
製作国 | 日本 |
監督 | |
脚本 | |
アクション監督 | |
出演 | |
鑑賞環境 | インターネット(U-NEXT) |
評価 | 8点 |
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