「きみがぼくを見つけた日」

2009☆Brand new Movies

 

自制できないタイムトラベラー能力に苦しみながら生きる男。そんな男を愛してしまった女。切なく美しい愛の物語。
というプロットは、少しばかり安直過ぎて、映画をよく見る人ならばやや敬遠してしまうだろう。

実際、ストーリーの完成度は決して高いとは言えず、設定も強引で整合性に欠ける。
つまりは、良く出来た映画ではない。

ただし、僕の中では「好きな映画」として記憶されると思う。

ハネムーンでオーストラリアに行った。その帰国便の機内でこの映画を観た。
夢のような日々から日常への帰路、映画を観ることで、ささやかな現実逃避を図りたかったのかもしれない。隣ではそうなったばかりの“妻”が眠っている。
そんな状況で選んだ久しぶりの恋愛映画だった。

先にも言った通り、そもそもの設定にやや無理はある。
いつ何時“タイムリープ”してしまう男と恋に落ち、結婚してしまうなんて、そんなこと普通の理屈では有り得ない。

でも、これは「映画」であり、人が人を愛するということに「理屈」は関係ない。
綺麗ごとであるが、それは圧倒的に正しい。

切ない運命によって別れを「覚悟」する夫婦のキスを見たとき、胸が締め付けられ、涙が溢れた。
何がどうであれ、感情を揺さぶられ涙が出る。
映画を観るということにおいて、それ以上に必要なことなんて実際無い。

そしてそれは、観る人の状態や環境によって大いにうつろう。
それで良いと思う。

P.S. ただこの邦題は最悪だと思う。原題「The Time Traveler’s Wife」の方がよっぽど機知に富んでいて良いと思う。というか、これでは主眼の捉え方が変わってしまう……。

「きみがぼくを見つけた日 The Time Traveler’s Wife」
2009年【米】
鑑賞環境:航空機内
評価:8点

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