「江分利満氏の優雅な生活」

2006☆Brand new Movies

 

普通の人生をできるだけ普通に送ろうとする普通な男の、笑いと悲哀。
誰にでも起こり得る、というか誰にでも実際に起こっている人生における事象を、独特の映画のリズムに乗せ“映画感情”たっぷりに描き出す。

オープニングをはじめとする映画ののテンポ感は、まるでディズニー映画のミュージカルシーンのようだが、延々と描かれるのは、疲れ気味のしがないサラリーマンのひとりごとである。
ただそれが、少しも飽きずクドくもない。むしろどんどんと引き込まれていく。何気ない台詞回しや、それを発する抑揚が絶妙で巧いのだ。

ひたすらに人間の滑稽さを描き連ねたかと思えば、次の瞬間には同じシーンであるのに、じわりと込み上げてくるものが生まれる。
人間とは、滑稽さと悲哀が表裏一体で構築されているものなのだなあと、改めて思う。

主人公・江分利満を演じた小林桂樹の演者としての深みを感じると共に、今更ながら娯楽映画界の大巨匠・岡本喜八の“巨大さ”を感じずにはいられない。

「江分利満氏の優雅な生活」
1963年【日】
鑑賞環境:DVD
評価:10点

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