評価:
8点Story
気象学の天才ケイトはニューヨークで世界の自然災害を予測し被害を防ぐ仕事に熱中していた。そんな中、故郷オクラハマで連続して巨大竜巻が発生していることを知る。学生時代の友人ハビと、新たに出会った気象の知識も性格も全く違う竜巻インフルエンサーのタイラーとともに竜巻内部に秘密兵器を仕掛けるという前代未聞の“竜巻破壊計画“を立て、巨大な竜巻を倒すために立ち向かっていくー。 Filmarksより
映画『ツイスターズ』 日本語吹替版予告 2024年8月1日(木)公開スティーブン・スピルバーグ製作総指揮この夏、『ジュラシック・ワールド』製作陣が贈る、アクション・アドベンチャー超大作富士山より高く、新幹線より速い!竜巻モンスター VS 人類地球が生んだ、最強の竜巻モンスター<巨大竜巻>を倒せ!寄せ集めチー…more
Review
ディザスター映画(災害映画)が好きだ。
人間、生物としてこの地球上に生存していく上で、人類の生命を脅かすほどの天変地異は、古来より不安と不幸の対象であり、同時に「畏怖」の象徴でもあった。
非力な人間の能力、知見では成すすべもない自然災害を、映画で描き出すことは、映画史においても連綿と受け継がれる題材であり、スペクタクルであり続けている。
特に90年代、CGによる映像技術の進化とともに、自然災害映画は隆盛を極めた。
その先駆けであり、革新的な作品であったのが、本作の前作である竜巻映画「ツイスター」であろう。
私個人においても、1996年に劇場鑑賞した「ツイスター」がもたらした衝撃と娯楽性が、ディザスター映画やパニック映画を好んで観るようになった“きっかけ”と言って間違いない。(同時期に鑑賞した「ボルケーノ」や「ダンテズ・ピーク」も、決して名作というわけではないけれど、根強く心に残り続けている)
本作は、その革新的な自然災害映画だった前作をきちんと継承し、30年経った現在においても恐怖と畏怖の対象である竜巻災害に挑む人間たちの姿を真っ当に捉えた作品だったと思う。
まず、30年ぶりの続編だからといって竜巻自体や災害規模を過度に強大化させるのではなく、焦点とすべきテーマを、竜巻に対する対処の方法や目的、そして共存へと促すストーリーテリングが好印象だった。
主人公の竜巻研究者が、映画の冒頭から掲げているように、彼らは巨大な竜巻を消し去ろうとしたり、無策に逃げ回るのではなく、あくまでも“手懐ける”ことを目的としている。
気象現象を正しく理解し、その現象や影響に対し先回りし、被害を最小限に抑えることは、異常気象に伴い自然災害が多発する現代社会における重要な命題であろう。
本作の根幹には、強大な自然災害を、スペクタクルにおける荒唐無稽な“モンスター”としてではなく、きちんと対峙すべきリアルな存在として描こうとする意思が感じられた。
それは、実際の自然災害を描くディザスター映画として、あるべき真摯な姿勢だったと思う。
30年前の前作に対して過度な演出的な強化を図るのではなく、30年前と変わらず災害がもたらす脅威と悲劇に苦闘する登場人物たちの姿がドラマティックであり、それぞれのキャラクターたちの描き出され方も、正当なアップデートが施されていたと思う。
前作で登場した観測装置の“ドロシー”が、敬意を払った“古道具”として再登場したり、映画館のスクリーンを突き破るメタ的な演出など、娯楽映画としての塩梅もちょうどよく、品位すら感じられた。
年月が流れ、時代が変わり、地球環境も変わり、また新たなディザスター映画に対するアプローチや挑戦が必要なタイミングになってきているのではないかとも思える。
人間と災害、その切っても切り離せない関係性を、今一度見直していくためにも、新しい時代のディザスター映画を引き続き期待したい。

Information
タイトル | ツイスターズ TWISTERS |
製作年 | 2024年 |
製作国 | アメリカ |
監督 | |
脚本 | |
撮影 | |
出演 | |
鑑賞環境 | インターネット(U-NEXT・字幕) |
評価 | 8点 |
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