小説「国宝」上下巻

ひとりダ・ヴィンチ

 

映画「国宝」を観終えて、10日あまり、

小説「国宝」上下巻を読了。

 

講談師の語りのような独特の文体で綴られ、描き連ねられたものは、

歌舞伎という芸に人生を捧げ、

国の宝の称号を得た一人の人間がたどり着いた境地。

それは、「狂気」なんて言葉すら生ぬるい、

あまりに崇高で、故に混濁した、“その者”しか見えない「景色」の有り様だった。

 

ある意味で舞台にすがり、誰よりも幕が下りてしまうことを恐れた男は、

ついに舞台と現実の境界を、威風堂々と越えていく。

 

 

映画も凄かったが、当然のように原作も物凄かった。

同じ人間の物語でありながらも、その世界観は似て非なるものであり、

それはまるでパラレルワールドに迷い込んだような感覚もあり、

歌舞伎×小説×映画、ベクトルが全く異なる文化が、時折交錯しつつも、全く異なる世界へ続いていた。

 

近日中に映画をもう一度劇場で観るのはもちろんだが、いつか歌舞伎もこの目で観てみたい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました