「ナポレオン」“とんでもない人間の半生を描く、短すぎた158分”

2024☆Brand new Movies

評価:  8点

Story

1789年 自由、平等を求めた市民によって始まったフランス革命。 マリー・アントワネットは斬首刑に処され、国内の混乱が続く中、天才的な軍事戦略で諸外国から国を守り 皇帝にまで上り詰めた英雄ナポレオン。 最愛の妻ジョゼフィーヌとの奇妙な愛憎関係の中で、フランスの最高権力を手に何十万人の命を奪う幾多の戦争を次々と仕掛けていく。 冷酷非道かつ怪物的カリスマ性をもって、ヨーロッパ大陸を勢力下に収めていくが――。 フランスを<守る>ための戦いが、いつしか侵略、そして<征服>へと向かっていく。 Filmarksより

【その男は英雄か、悪魔か―】映画『ナポレオン』12月1日(金)全国の映画館にて公開!<予告3>
【英雄】と呼ばれる一方で、【悪魔】と恐れられた男――。巨匠 リドリー・スコット 監督×『ジョーカー』のアカデミー賞®俳優 ホアキン・フェニックス が『グラディエーター』以来23年ぶりの再タッグで挑む<今世紀最大級>のスペクタクル超大作!撮影…more

 

Review

私が「ナポレオン」について知っていたことといえば、小学生の頃に学校の図書室で読んだ学研まんがの伝記シリーズに描かれていた通り一遍の生涯と、ナポレオンを「英雄」として推していたベートーベンが、彼が皇帝になったことに失望し激怒したという逸話くらいだった。
本作を観終えてまず思ったことは、「ナポレオンってやっぱりとんでもない人間だったのだな」ということ。そして、「世界史(ヨーロッパ史)ってえげつなくて、残酷で、なんて面白いんだ」ということだった。

御大リドリー・スコットが、相変わらず年齢的な限界をまるで感じさせない熱量で描き出すこの映画は、重厚な歴史モノでありながら少しも鈍重ではなく、あらゆるタイプの映画作品を創り上げてきた巨匠ならではの軽快さや軽妙さも備えていた。ナポレオンという偉人の特異な“人間味”に溢れた、濃厚でエキサイティングなドラマであった。
映画史の文脈における、エネルギッシュとフレッシュの最高到達点を齢87歳にして更新し続ける現役最強巨匠のクリエイターとしてのパワーには、驚嘆を越えてただただ感嘆する。

本作はナポレオンの伝記映画ではあるが、必ずしもこの大人物の英雄伝や支配者としての功罪を歴史になぞって描き出した映画ではない。
そこには映画的なフィクションやサービスが多分に盛り込まれており、この作品単体を観てナポレオンの人物像を決定づけるべきではないし、リドリー・スコットもそんなことを求めているわけではない。

ただし、ナポレオンがあまりにも“普通じゃない”人間であることは明らかであり、それは歴史が語る事実としても証明されている。
この映画は、その普通じゃない人物のただならぬ半生を、卓越しつつも野心的な映画表現によってこれでもかとキャンバスに塗りたくるように描き出した、まあ控えめに言って傑作だと思う。

正直に言えば、この映画世界のボリューム感に対して、158分という尺はあまりにも短すぎた。
前述の通り重厚なドラマを全編通して感じつつも、やはり濃密すぎる彼の人生の“総集編”を観ているような感覚をどこかで否定できなかった。

年末の週末深夜に本作を観終え、寝床に潜り込んだ私は、翌日の何かと忙しい休日を犠牲にしてでも、3時間半の“ディレクターズ・カット”を観るか否か逡巡しながら眠りに落ちた。

つづく。

 

「ナポレオン:ディレクターズ・カット」“そして男は一人孤独に彼女を想い続ける”
結論としては、本作こそが御大リドリー・スコットが描き出したかった「ナポレオン」映画であったことは間違いない。あまりにも重要すぎる幾つものシーンによって、このディレクターズ・カットは、より立体的に、よりドラマティックに、ナポレオンという偉人の異様な人間模様を表現し尽くしていた。

 

Information

タイトル ナポレオン NAPOLEON
製作年 2023年
製作国 アメリカ/イギリス
監督
脚本
撮影
出演
鑑賞環境 インターネット(Apple TV+)
評価 8点

 

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