おヒサシネマ! 「キサラギ」

久々鑑賞☆おヒサシネマ!

 

自殺したマイナーアイドル「如月ミキ」の一周忌に集まった曲者ぞろいの5人の“ファン”たち。
全編通してまんべんなく“笑い”を散りばめつつ、密室の中でアイドルの死の「真相」を突き詰めていく様は、「12人の優しい日本人」を彷彿とさせる。
所々粗はあるし、よく考えればとても残酷な話でもあるのだが、それよりもこういうストーリーテリングをオリジナル脚本で生み出したことに価値があったと思う。

5人のキャラクターそれぞれが立っていて、それぞれのキャラクター設定や、伏線となる言動が徐々に結びついていく様に、登場人物たち同様にハッとなる。
それがサスペンスとしても心地よい快感となり、どんどんのめり込んでいけて、とても楽しい。

ストーリーやサスペンスとしての伏線自体は、実はとても安直なもので、それほど突き詰められたものではないのだけれど、愛すべきキャラクターと映像世界が、トータル的に「良い映画」として仕上げていると思う。
最終的に、観客も“如月ミキファン”になってしまうような、そんな愛着感こそ、この作品が映画として「スバラシイ」と言える最大の要因だと思う。

惜しむらくは、宍戸錠の出演はお宝DVDの中だけでとどめてほしかった。
5人揃って“見事”な振り付けを披露するファンキーなエンディングで幕を降ろしてくれていた方が、よっぽど映画としての後味が優れていたと思う。
意味ありげで結局無意味なラストカットは完全に蛇足だ。

 

「キサラギ」
2007年【日】
鑑賞環境:動画配信
評価:8点

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