ずうっと昔のある日、テニスの国際大会の中継を観ていた。
日本を代表する女子テニスプレイヤーが、当時の世界女王と接戦を繰り広げていた。
そして、その会場では一般観衆に交じって、日本の男子プレイヤーが馬鹿みたいに一生懸命に“日の丸”を振りかざして応援していた。
その試合に、日本人選手が勝利したかどうかは忘れてしまったが、テニス競技において、日本人選手がもっとも世界の頂点に肉薄した試合であったことは間違いなかったと思う。
言うまでもないが、その日本人選手の名前は伊達公子。
世界女王の名はステファニー・グラフだ。
(馬鹿みたいに応援していた男子プレイヤーは、松岡修造)
テニスのテレビ中継を観ていて初めて心の底から興奮し、この競技の奥深さを知った日だった。
あれから何年経っただろうか。
絶対的だった世界女王も、日本人トッププレイヤーだった男子選手も引退した。
ただ、伊達公子は、現役復帰を果たし再び世界のトップコートで挑んでいる。
ウィンブルドンで15年ぶりの「勝利」を果たした。
そして迎えた二回戦。
過去5度の優勝を誇るヴィーナス・ウィリアムスと大接戦を繰り広げた。
下馬評を覆す第一セット先取。
その後、元世界女王の底力の前に屈したが、
終始、ハイパフォーマンスを見せ、「勝利」に肉薄した40歳の日本人テニスプレイヤーの姿には、
テニスという「競技」を越えた日本人としての、一人の女性としての“誇り”が垣間みれたと思う。
甲高く響き渡る「カモーン!」という咆哮を、もう少し聞いていたいと思う。


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