おヒサシネマ!「アイアンマン2」“10年越しで現れた本作の真価と、ブリッジとしての役割”

スバラシネマReview

評価:  8点

Story

自らアイアンマンであることを公表した、億万長者にして天才発明家のトニー・スタークは、政府からスーツの技術を軍と共有するよう求められてしまう。しかし、その技術が悪の手に渡ることを恐れるトニーは、スーツの引き渡しを拒否する。ペッパー・ポッツと“ローディ”・ローズに加え、新たな仲間の協力を得て、トニーは強敵に立ち向かうことになる。だがトニーの前に立ちはだかるのは、彼の命を狙う謎の男だけではなかった。胸に埋め込んだアーク・リアクタの影響で彼の体は蝕まれていたのだ…。 Filmarksより

 

Review

MCU以降のアメコミヒーロー映画の中では、“No.1”と言って良いスーパーヒーローの代名詞となった“アイアンマン”。
このヒーローを、スーパーマンやバットマン、スパイダーマンと並ぶ世界的知名度を持つ存在に押し上げたのは、やはりそれを体現したロバート・ダウニー・Jrの俳優としての功績が大きいだろう。
彼が作り上げたアイアンマン像が、MCUのコンセプトを決定づけたと言っても過言ではなく、改めてこのキャスティングの価値を感じる。

ただ、この「アイアンマン2」を最初に劇場鑑賞した際は、本作の価値を十分に感じ取れなかった記憶がある。
過去のレビューを顧みてみると、娯楽映画として楽しめたことは認めつつも、ストーリー展開に安直さと魅力の無さを感じたと記してあった。

自分自身としても興味深いのだが、その後MCU各作品の鑑賞遍歴を経て、本作の再鑑賞を重ねると、見返す度にその面白さが高まっている。そして、初見時に感じたマイナス要素は、180度逆転していることに気づく。

そういった印象の大逆転が生じている最大の理由は、やはりMCUというコンテンツの拡充と、世界観の拡大に伴い、本作が果たしている“ブリッジ”としての役割の価値が高まっているからだろう。
初鑑賞時には、MCUがその後、宇宙規模のスケールで広がり、さらには多次元宇宙にまで至るとは想像していなかったため、本作のストーリーに潜んでいた“可能性”を読み取ることができていなかったのだと思う。

トニー・スタークというキャラクターが抱える自己矛盾や、人間性としての脆さ、そしてそういったウィークポイントを越えて、彼が果たす「役割」。
『エンドゲーム』における「I am Iron Man」という台詞と共にトニー・スタークが迎える“最期”が、既に脳裏に刻み込まれているファンにとっては、本作の細かい台詞や言動の数々が、既に伏線として存在していたことに胸が熱くなる。
特に、トニーが最も愛し、信頼するペッパー・ポッツとのやり取りには、『エンドゲーム』の最後で、ペッパーがトニーに向けた「眠って」という言葉に至るまでの感情の源泉が存在していたと思える。

 

あと、本作において、初回鑑賞時から変わらず“サムズアップ”を出さずにはいられない要素がある。スカーレット・ヨハンソンが演じる“ナターシャ・ロマノフ”aka“ブラック・ウィドウ”である。
スターク・インダストリーズの社員として潜入していた彼女が、徐々にブラック・ウィドウとしての“本性”を表していく展開は、間違いなく本作の一つのハイライトであろう。
(あくまでも個人的に、極端に言い過ぎてしまえば、本作は“ナターシャを愛でる映画”と言ってしまっていい)

 

キャストにおいては、ヴィランのミッキー・ローク、サム・ロックウェルの存在感が印象的だ。そして、本作からローディ役を引き継いだドン・チードルの好演も光る。
また1、2と監督を務め『アイアンマン』という映画世界とキャラクター設定を見事に実現させたジョン・ファブローの功績もまた大きいと思うし、彼が演じる“ハッピー・ホーガン”のキャラクターも本作でその存在感を高め、トニーの傍に欠かせない人物となっていくことが感じられる。

やはり本作は、『アイアンマン』シリーズの2作目というポジションに留まらず、MCUのシリーズ全体の「続編」として、非常に重要な“ブリッジ”だったのだと痛感した。

 

「アベンジャーズ/エンドゲーム」<10点>
《ネタバレあり!》トニー・スタークがアイアンマンになって10余年。僕たちは、彼が幾つもの眠れぬ夜を過ごしてきたことを知っている。そのトニーの姿を一番近くで見続けていたのは、他の誰でもなくペッパー・ポッツだったということ。だからこそ、ポッツは…more

 

Information

タイトル アイアンマン2 IRON MAN 2
製作年 2010年
製作国 アメリカ
監督
脚本
撮影
出演
声の出演
鑑賞環境 インターネット(Disney+・字幕)
評価 8点

 

Recommended

Amazon.co.jp: アイアンマン2 4K UHD [4K ULTRA HD+ブルーレイ] [Blu-ray] : ロバート・ダウニー・Jr., グウィネス・パルトロウ, ドン・チードル, スカーレット・ヨハンソン, ミッキー・ローク, ジョン・ファヴロー: DVD
Amazon.co.jp: アイアンマン2 4K UHD : ロバート・ダウニー・Jr., グウィネス・パルトロウ, ドン・チードル, スカーレット・ヨハンソン, ミッキー・ローク, ジョン・ファヴロー: DVD

コメント

タイトルとURLをコピーしました