「柔道」VS「JUDO」

北京オリンピックも開幕からはや一週間。

日本勢は、予想以上に順調な結果を残していると思う。
北島康介の圧倒的な「強さ」による二つの金メダルはもちろん大きい。

が、自分の予想を覆したのは、「柔道」だ。

アテネ五輪で、男女合わせて金メダル8個という好成績を残した日本柔道だが、アテネ後の4年間の世界大会における戦績は非常に悪かった。
日本国内のそれとは異なるルールの「国際化」、世代交代、とその理由は様々だが、この4年間の状況を踏まえると、北京五輪は決して喜べるような「結果」は残せないと思っていた。

結果としては、金メダル4個、銀メダル1個、銅メダル2個。
男子だけに限れば、内柴と石井の金メダル2つに終わったことは、チームとして「惨敗」なのかもしれないが、日本柔道総じて見れば、「最悪」の結果では決してなく、見ている方も「よくやった」と言いたくなる。

日本の武道である「柔道」が、国際スポーツとしての「JUDO」に転じていくことによって、鍛錬された「技」で、「一本」をとりに行く日本勢は勝ちにくくなった。
国際化によって競技自体に対する価値観が“多様化”していくことは、致し方ないことなだと思う。
一本勝ちで綺麗に勝とうが、指導ポイントで優勢勝ちしようが、「勝利」の価値は変わらない。

勝ち方に対する「美意識」を持つのは、一つの価値観に過ぎないと思う。

しかし、それでも、日本の柔道は、どこまでも一本勝ちを追い求めなければならない。
それは、国際スポーツとして発展していく「JUDO」に対し、それを生んだ「柔道」で勝負していく日本の意地だ。

そして、その意地をこのオリンピックでメダルを獲得した選手らは、見せつけてくれたと思う。

勝ち上がれずに敗退した選手らの試合を見ていると、国際化の波に飲み込まれていく危惧はもちろん無視できない。
ただ、世界の頂点を勝ち取った日本人選手らの一本勝ちには、まだまだ可能性を感じるし、世界に日本柔道の強さと魅力を見せつけられると思った。

コメント

タイトルとURLをコピーしました